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11月19日-03号

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  1. 京都市議会 2004-11-19
    11月19日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成16年 11月 定例会(第4回)       平成16年第4回               京都市会会議録 第3号       (定例会)           平成16年11月19日(金曜日)出席議員(66名)   1番 村山祥栄議員   2番 湯浅光彦議員   3番 隠塚 功議員   7番 田中セツ子議員   8番 樋口英明議員   9番 宮田えりこ議員   10番 加藤あい議員   11番 木村 力議員   12番 曽我 修議員   14番 山岸たかゆき議員   15番 砂川祐司議員   16番 安孫子和子議員   17番 津田大三議員   18番 中川一雄議員   19番 田中英之議員   20番 中村三之助議員   21番 玉本なるみ議員   22番 赤阪 仁議員   23番 くらた共子議員   24番 河合ようこ議員   25番 久保勝信議員   26番 津田早苗議員   27番 竹内ゆずる議員   28番 井上教子議員   30番 宮本 徹議員   31番 加地 浩議員   32番 橋村芳和議員   33番 小林正明議員   34番 加藤盛司議員   35番 繁 隆夫議員   36番 富 きくお議員   37番 せのお直樹議員   38番 井坂博文議員   39番 岩橋ちよみ議員   40番 井上けんじ議員   41番 西野さち子議員   42番 柴田章喜議員   43番 久保省二議員   44番 大道義知議員   45番 日置文章議員   46番 谷口弘昌議員   47番 今枝徳蔵議員   48番 鈴木マサホ議員   49番 小林あきろう議員   50番 内海貴夫議員   51番 巻野 渡議員   52番 磯辺とし子議員   54番 井上与一郎議員   55番 川中増次郎議員   56番 北山ただお議員   57番 山中 渡議員   58番 藤原冬樹議員   59番 倉林明子議員   60番 山本正志議員   61番 佐藤和夫議員   62番 ふじい佐富議員   63番 宇都宮壮一議員   64番 山口幸秀議員   65番 高橋泰一朗議員   66番 椋田知雄議員   67番 中村安良議員   68番 北川 明議員   69番 国枝克一郎議員   70番 西脇尚一議員   71番 青木ヨシオ議員   72番 加藤広太郎議員欠席議員(なし)欠員(3名)   議事日程   開議日時 平成16年11月19日(金)午前10時   一般質問 (1) 市政一般について  ふじい佐富議員 (2) 市政一般について  玉本なるみ議員 (3) 市政一般について  津田早苗議員 (4) 市政一般について  久保勝信議員 (5) 市政一般について  小林あきろう議員 (6) 市政一般について  隠塚 功議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(田中セツ子) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。宮田えりこ議員と木村力議員とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) この場合、議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願6件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託致します。 以上、御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 昨日に引き続き、これより一般質問を行います。発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、ふじい佐富議員。 〔ふじい佐富議員登壇(拍手)〕 ◆(ふじい佐富議員) おはようございます。南区選出のふじい佐富です。日本共産党市会議員団を代表して市長並びに関係理事者に質問致します。 まず第1に京都高速道路について質問致します。来年秋に民営化される阪神高速道路公団の概算要求で、第1に出資金率を現在の1.4倍、35パーセントまで引き上げる。第2に一部区間を京都市の工事へと押し付ける。その結果、京都市の財政負担が大幅に増えることを9月定例議会で我が党の佐藤和夫議員が明らかにしました。私はそのときの理事者の答弁に耳を疑いました。阪神公団民営化に伴う動向や分析も行わず、京都市の財政状況の検討もなく、従来と全く同じ答弁だったからです。私は10月20日、国土交通省有料道路課公団民営化準備室を、11月9日には阪神高速道路公団本社や大阪府を訪ね、詳しく状況を聞いてきました。国の担当者は、民営化に向けて従来のルールは変わる。経済情勢に伴い自動車交通量も減少傾向にあり、阪神公団が民営化後45年で工事費の借金を返すことは難しい。出資金率の値上げと同時に、これからの高速道路建設は地方にお願いしたい。地方自治体が行えば街路建設となり45パーセントの財政負担が伴いますとのこと。また既に一部区間の事業区分の見直しを進めている大阪については、阪神高速の大和川線の一部区間は大阪府が街路建設事業で行うことで合意した。淀川左岸線は大阪市と協議を重ねているとのことでした。 阪神公団では、担当者いわく民営化後、このままでは建設費が賄えない。予測交通量の見直しを行い4兆7,000億円の借金返済を前提に抜本的な精査を行っている。大阪や神戸とネットワークでつながっていない京都は、京都高速道路利用者の通行料金だけで返済しなければならず、非常に厳しいと訴えています。油小路線の予測交通量を聞くと、すべての路線が完成してネットワークができたときを前提にした数値であって、見直し作業を行っているとのこと。未着工の久世橋線、西大路線、堀川線の3路線について尋ねれば、今でも厳しいのに新たに阪神公団が事業主体で行うのは難しいと重大な発言もされています。 大阪府の担当者は、去年12月、国から阪神高速大和川線、全長10.8キロのうち4.3キロを大阪府の街路建設でと言われた。国の提案では、大阪府の財政負担は新たに約500億円も増える。致し方なく街路建設事業として受け入れる判断をしたが、何とか更に負担を減らせないかと引き続き協議を重ねているとのことでした。大阪市ではどうなのか。淀川左岸線の残事業費960億円のうち当初の負担は60億円。それが380億円と6.3倍に膨れ上がる。計画されている事業も計算すると当初負担の312億円が2,000億円へと桁違いに負担が増えるとのことです。 京都市で建設されている新十条通と油小路線の総事業費は2,003億円、どの区間が京都市の街路建設事業になるにしても、その建設費の45パーセントは負担しなければなりません。未着工の3路線は総事業費2,900億円。しかも久世橋通を今の倍以上の50メートルに拡幅する用地買収費は別に必要という超大型の事業です。今の財政事情で毎年数百億円の建設費や用地買収費を新たに捻出することなどできるはずがありません。更に完成後の維持管理費はどうなるのか。その事業区間は有料道路ではありません。完成した後も毎年、一般街路とは比較にならない負担が強いられます。 また油小路線と第二京阪道路を結ぶ900メートルの洛南連絡道路区間について、国の考えを確かめると、国の直轄事業で行う。総事業費は100億円強。地方自治体には3分の1の負担金が生じる。年度末には納めていただくとのことです。有無を言わせず年度末に数十億円を国に納めなければなりません。したがって油小路線や未着工の3路線の建設を洛南連絡道路と同じように国の直轄事業でとお願いしても、毎年の負担金払いで財政は必ず破綻します。阪神公団は、これまでもランプ工事費や用地買収費などを京都市に肩代わりさせてきました。来年秋の公団民営化の時点でも供用開始のめどがない京都高速道路の場合、国や阪神公団が大阪以上に厳しい事業区分の見直しを求めることも考えられます。建設局に聞くと、大阪市や神戸市とも連携を取って国に要望を繰り返しているところと言っていますが、国も阪神公団もここまで明確な方針を持って公団民営化の作業を進めている最終段階で、幾ら協議を重ねてもその姿は哀れな三都物語でしかありません。京都市がこの間の経緯を市民に明らかにせず、京都高速道路建設費の大幅な負担の増大を市民に負わせることになるなら市長の責任は極めて重大です。桝本市長、財政面からどうなのか説明責任が問われる問題です。答弁を求めます。 次にこのパネルを御覧ください。阪神高速道路の総延長は99年度の221.2キロから今では233.8キロへと延長されていますが、1日平均交通量はこのグラフに示したように98年の95万台をピークに2002年度には88万台へと減少を続けています。ちなみに95年度の落ち込みは阪神・淡路大震災による影響です。93年、京都高速道路が都市計画決定されたときの説明で、自動車交通量は20年間で1.16倍に増えるとしていましたが、実際はこのとおり下がっています。また京都市は自動車の保有台数も増え続けると予測していましたが、このパネルを御覧ください。京都市の統計資料によれば93年が45万台です。その後、97年度の48万台をピークに毎年減り続け、2002年度末には45万台にまで下がっています。これらの数字が示すように建設促進の錦の御旗にしていた予測交通量や保有台数の数値的根拠は既になくなっています。この2点の事実だけでも高速道路事業の中止が迫られる問題ではありませんか。 では環境面ではどうなのか。谷田悟郎医師が代表を務める京都の空気をはかる会が健康被害の原因の一つとして言われている二酸化窒素の市内全域の濃度測定を毎年6月に実施してきました。既に7回も行われています。谷田先生によると、今年の特徴は第1に、とても汚い地域が北は北大路通、西は葛野大路へと拡大している。第2にとても汚い交差点が盆地の都心部、五条通と七条通、大宮通と堀川通に集中している。国の環境基準を超える交差点が前年度の1箇所から一気に22箇所に拡大。特に今年オープンしたダイヤモンドシティ・ハナ付近の西大路五条交差点では、国の環境基準の2倍、0.12ppmに達していたとのことでした。京都府保険医協会環境対策委員の山本昭郎医師は、必要なのは自動車の交通量を減らすこと。新たに大量の自動車を呼び込み環境を悪化させる京都高速道路計画は中止すべきと訴えられています。 一方、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出量の問題では、運輸部門の94パーセントが自動車というデータからも自動車の総量規制、交通需要管理施策の重要性は環境面でも明らかです。1990年度比で10パーセント削減目標を掲げる京都市は、京都市環境審議会答申で強力な対策を講じない限り目標の10パーセント削減どころか18パーセント増加すると厳しい指摘を受けています。この数年の異常気象で地球温暖化に対する関心も高まっています。地球温暖化防止京都会議で採択された京都議定書もロシアの承認によって来年度に発効されることが確実になりました。この時期に地球温暖化対策条例を制定することは大いに評価できるものですが、問題はその中身です。文字どおり10パーセント削減を実現できる実効ある条例にしなければなりません。 一方で歩くまち、公共交通優先と言いながら自動車依存の高速道路を市内に引き込むという政策の矛盾を真摯に受け止め早急に改める決断が迫られています。財政面でも交通量の将来予測でも、環境面でも京都高速道路計画はその建設根拠を失い破綻しているではありませんか。四面楚歌、八方ふさがりというのが実態ではありませんか。新十条通と油小路線はその工事を凍結する。残る3路線、久世橋線、堀川線、西大路線の計画中止を表明するときです。桝本市長の決断を求めます。 次にLRT新型路面電車小型循環バスの導入について質問致します。私は、今年10月22日から3日間、路面電車運行100周年を迎える高知市で行われた第7回全国路面電車サミットに参加してきました。北は北海道札幌から南は九州鹿児島まで路面電車を走らせている全国の事業者や支援者が参加されています。新たに路面電車を運行する富山ライトレールの参加も目を引きました。LRTの導入も、日本で初めて運行した熊本市交通局をはじめ広島電鉄、岡山電気軌道、地元の土佐電気鉄道など2003年度末で10都市、96両が既に導入されています。国土交通省の担当官がその普及の必要性と改善された補助制度の説明を行っていました。来年度は国土交通省の各局が連携して総合的な支援を行えるよう財政面も体制も整えていきたいとのことでした。サミットのまとめで東京大学名誉教授の森地茂先生は、私たちのまちをどうしていくのか具体化する時代に入った。特に京都でLRTを走らせたらいいなとの発言もありました。国会ではLRT促進議員連盟が共産党から自民党まで超党派で結成されています。京都でも今出川通にLRTを導入しようという市民の活発な動き、更に私も欠かさず参加している次世代都市交通導入フォーラムという形で民間レベルでも活発な議論が展開されています。私も京都LRT市民の会の事務局の一人として実現の一翼を担う運動を行っています。京都では、来年度、LRT導入検討報告書が発表されます。日本で最初に路面電車を走らせた京都だからこそ、古くて新しい京都のまちの象徴としてLRTが大きな注目を受けることは確実です。次の段階としてLRT導入に向けて具体的なタイムスケジュールを示すときではないでしょうか。答弁を求めます。 もう一つの課題として、全国に広がる小型循環バスの導入も重要な施策です。大阪市交通局が導入した小型循環バス赤バスは運賃100円の気楽さと市バスへの乗り継ぎの無料化など大阪市民から好評を得ています。京都市でも各行政区の基本計画で、11行政区中8行政区で小型循環バスの必要性をうたっています。京都のバス事業を考える会でも、生活路線として周辺部の赤字路線をどう運用していくのか、様々な想定をして実験を実施するとの方向が出されました。特に私の住む南区南西部は市バスが唯一の公共交通機関で他に代わるものがありません。文字どおり生活路線です。買物や病院通いなど生活に密着した小型循環バスの要望の強い地域です。具体的な作業に入るときです。検討内容も含め導入に向けた具体的な答弁を求めます。 最後にキリンビール工場跡地の開発問題について質問致します。第1の問題は住民への重大な影響や不安の声にどうこたえるのかという問題です。その一つに交通問題があります。超大型の商業施設につながる道路は、東西に走る久世北茶屋線しか存在しません。計画に示された駐車場の台数の合計は6,320台、うち商業施設用だけでも4,780台という規模です。他の大型店の駐車場と比較すれば、ジャスコ洛南店が1,755台。ダイヤモンドシティ・ハナが1,690台。キリンビールの計画は実に3倍近い台数になっています。すべての比較では3.7倍です。京都府下最大の駐車場を建設しようとするものです。今でも交通渋滞で困っている地域です。京都府警本部からも厳しく指摘されていると聞いています。取り返しの付かない事態を招くことは間違いありません。 二つ目には向日市の商業施設面積の2倍にも達する8万平米の物品売場面積が示す巨大な商業施設の経済的影響です。各地域の商店街はどうなるのか。にぎわいを取り戻そうと大変な努力をされている京都中心街の四条通や河原町通の商店街はどうなるのですか。9月に行われた京都府議会でも与党の議員から周辺市町における商店の経営や雇用への影響が懸念されると質問が出るほどです。地域活性化の起爆剤と言いますが、その爆風で周辺が吹き飛ばされることは確実です。しかし商業影響調査さえ行われていません。 三つ目は高さ90メートルのビルが4本、高さ90メートルの観覧車の設置による景観破壊と環境破壊です。大阪方面から京都を訪れる人たちが最初に目にするのが巨大な観覧車とビル群ということになります。京都らしい景観と言えるでしょうか。京都市は、観覧車の建設をやめてほしいとの要望さえしておらず景観を守る姿勢は全く見られません。情けない限りです。また90メートルビル群によって引き起こされるビル風の影響も心配の声が多数出されています。キリンビール側から示された内容を報告するだけ、京都市自ら検証もしていないというのですからお粗末の一言です。堺市の高層ビルによる風害影響裁判で住民が勝訴した事例をどう受け止めているのですか。以上これだけの市民の声がありながら強引に進めようというのですか、答弁を求めます。 最後に周辺住民にとどまらず京都市全体に多大な影響を及ぼす超大型開発なのにキリンビール社と行政が秘密裏に進めてきた1企業にのみ便宜を図った計画だということです。京都市は、都市計画審議会の場で審議委員の厳しい議論に対し、工場が閉鎖されてこの7年間、キリンビール社をはじめとして行政も含めてどれだけの議論があったかということを御理解いただいていないと力説されました。結局7年間も市民に隠れて具体化してきたと言っているだけではありませんか。市長の言うパートナーシップの相手は、市民でなく大企業のキリンビール社だったということではありませんか。市民不在で7年間も秘密裏に練られてきた計画はいったん白紙に戻し、もう一度仕切り直して計画を立て直すことが求められています。答弁を求めます。以上、私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) ふじい佐富議員の御質問にお答え致します。 京都高速道路についてお答え申し上げます。私は、147万人の市民の生活を守り抜く強い決意と、京都は21世紀においても世界の京都として存在感のある都市であり続けなければならないという夢と希望を持って厳しい財政状況下にあっても一つ一つの政策の着実な推進に全力投球しております。京都高速道路は、京阪神都市圏を結ぶ道路ネットワークを形成することはもとより、社会経済活動の活性化に資する必要不可欠な都市基盤施設であります。更に本事業の整備により市内の慢性的な交通渋滞の緩和や定時走行の確保による交通の円滑化が図れることで二酸化炭素等の排出が抑制され環境保全に大いに寄与するものでございます。事業主体である阪神高速道路公団は、民営化後45年で債務を償還するという枠組みの中で採算性を確保するため事業区分の見直しや出資率のかさ上げについて国及び本市をはじめとする公団に出資している地方公共団体と協議、調整を求めて参っております。本市と致しましては、公団に更なるコスト縮減等の自助努力を図ることを求めるとともに、公的支援が必要な場合には公団に出資している他の地方公共団体と連携し地方の財政負担が軽減されるよう国へ強く働き掛けて参りたいと考えております。京都高速道路は、本市の将来の発展のため是非とも必要なものであり、現在事業中の新十条通及び油小路線につきましては公団と連携し早期完成を目指し不退転の決意で取り組んで参ります。また久世橋線など残る3路線につきましても、今後道路関係四公団の民営化に向けた国の動向や社会経済情勢といった様々な要因を検討する中で事業化に向けた取組を検討して参りたいと考えております。 以下、毛利副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中セツ子) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 私からは2点お答え申し上げます。まずコミュニティバスについてのお尋ねでございます。醍醐のコミュニティバスにつきましては、バスの運行経費を地元が支えておられることや、これまでのバスルートに捕らわれず地域住民のニーズをきめ細かく反映させていることなど正に地域のために地域で運行するという全国的にも先駆的な取組であると評価致しております。しかしながら、一般に他の都市におきましては、コミュニティバスをバス路線を廃止する地域の代替手段として導入する事例が増えておりまして、初期投資や運営費などに行政が多額の経費を負担しているとともに利用率の低下が自治体の財政負担の増大につながっているなど運行に関する課題が数多く見受けられます。そのためコミュニティバスにつきましては、地域での取組状況、利用対象者や事業主体、採算性、支援の在り方などについて多面的に検討する必要があると考えております。なお、お話のございました京都のバス事業を考える会は、赤字ではあっても市民生活に欠かせない現在の市バス路線の確保策について御審議いただくために設置したものでございまして、現在市バスとタクシーとの連携モデルなど生活支援路線の効率的で効果的な具体的確保策について御議論いただいているところでございます。 次にキリンビール京都工場の跡地開発についてお答え致します。キリンビール京都工場跡地は、京都市都市計画マスタープラン都市再生緊急整備地域の地域整備方針において、飛躍的に向上する交通利便性を生かした複合的な都市機能の導入により新たな拠点を形成する地区として位置付けられております。キリンビール株式会社の開発構想は、こうした京都市のまちづくりの方針に沿ったものであり、先般その構想を前提として必要となる道路などの公共施設や開発に際しての配慮事項などを都市計画決定致しました。これを踏まえ、現在同社におきまして具体的な開発計画の検討が進められているところでありますが、大規模な開発となるだけに、その実現に当たりましては、とりわけ交通処理が大きな課題であると考えております。このため京都市と致しましても、久世北茶屋線からできるだけ円滑に地区内や敷地内に車が入れるような交差点処理や施設配置の検討を求めるとともにJR新駅の利用者も含めた自動車、歩行者のより安全円滑な交通処理につきまして京都府警はじめ関係機関とも協議して参ります。次に商業施設の規模でございますが、キリンビールの開発構想は、京都市商業集積ガイドラインのまちづくりの方向性にも適合したものでございまして、京都市の南西部のにぎわいの拠点となるよう期待致しております。今後大規模小売店舗立地法に基づく設置届が提出されましたら、この法律に基づき駐車場の必要台数などの交通に係る事項をはじめと致しまして、周辺地域の生活環境の保持のためその影響を受けられる立場にある地域住民の声を聴きながら適正に対応して参ります。また高層建築物による影響につきましても、この度の都市計画決定されました地区計画で定めました日影規制に加え周辺環境や景観に配慮した計画となるよう指導して参ります。今後とも京都市と致しましては、JR新駅などの整備と併せまして京都府や向日市とも連携しながら、にぎわいと潤いのあるまちづくりの実現に向けて積極的に取り組んで参る考えでございます。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 大島都市計画局長。 〔大島都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(大島仁) LRTについてお答え致します。京都市では、観光地を中心とした渋滞などの交通問題を解決するため自動車の流入抑制や分散化、公共交通への誘導策などのTDM施策を推進することとしており、平成15年6月には今後のTDM施策推進の指針となります歩くまち・京都交通まちづくりプランを策定したところでございます。LRTなどの新しい公共交通システムにつきましては、人や環境に優しい次世代型の新しい公共交通としてヨーロッパなどの各国において導入されており国内でも注目されております。しかしながら、LRTなどの新しい公共交通システムの導入に当たりましては、専用軌道を確保するための既存道路における自動車交通の制限あるいは事業主体の問題、更には需要量や採算性の確保の問題など解決すべき課題が数多くあります。したがいまして平成15年度から観光客の移動支援や交通拠点間の連絡強化などの観点を基に課題を抽出するため具体的な七つの路線を設定し、各路線について自動車交通などの他の交通手段や沿線住民に与える影響を整理するとともに需要予測や整備費用、採算性などの検討を進めております。こうした検討結果につきましては、平成17年度に広く市民の皆様にお示しし、市民や各界の皆様とも課題を共有しながら幅広い議論を行って参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) ふじい議員。 〔ふじい佐富議員登壇(拍手)〕 ◆(ふじい佐富議員) 京都高速道路問題について市長から答弁いただきました。市長、この資料は大阪府が今年の3月の議会に提出した街路建設とした場合の説明文書です。ここに基本的な考え方と1案から4案までの財政負担の事例が示されています。行政の最低限の責任として事実を明らかにすることが求められています。桝本市長、あなたの答弁はその責任を果たしていません。重ねて高速道路の凍結、中止を求めておきます。以上、同僚議員と共に引き続き決算委員会の場で議論を展開することを表明して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 次に、市政一般について、玉本なるみ議員に発言を許します。玉本議員。 〔玉本なるみ議員登壇(拍手)〕 ◆(玉本なるみ議員) 北区選出の玉本なるみでございます。日本共産党市会議員団を代表し市長並びに関係理事者に質問致します。 まず初めに介護保険制度について質問します。家族介護から社会が支える制度へ、在宅で安心できる介護へ、サービスが選べる制度にと導入された介護保険制度は5年目の制度見直しの時期を迎え、ほぼ見直し案が出そろったと言われています。この間、全国的にも京都市でも施設建設が進み在宅サービスの量も増え、利用される方々も増えています。しかし制度創設時の目的から見て現状は余りにも懸け離れているのではないでしょうか。毎年のように値上げされる保険料に年金は先細り、保険料は強制天引き、不安になるばかりとの声がたくさん寄せられています。いざサービスを利用しようと思っても、選べるどころか施設は不足し、利用料の負担ができず利用抑制が起こっています。見直しに当たっては、これらの問題の解決こそが求められています。ところが政府の方向は更なる負担増と給付の抑制であり、ますます高齢者を介護から遠ざけるものと言わざるを得ません。以下、幾つかの現状の問題を通じて質問致します。 第1に、介護保険料、利用料の負担を軽減することです。高齢者の多い京都市では、政令市の中で2番目に高い保険料となっています。介護保険は国の負担分をそれまでの2分の1から4分の1に減らしたこと、給付が増えれば保険料が上がる仕組みにしたことが保険料の負担増になっているのです。政府は更に保険料の徴収年齢の引下げや利用料負担を現在の1割から2割、3割へと引き上げようとしています。施設入所者に対しても利用料に加えホテルコストとして部屋代や食費を追加徴収し10万円を超える負担にしようとしていますがとんでもありません。既に個室ユニット型の新型施設ではホテルコストや食費が徴収されており、生活保護世帯の方は入所できませんし、年金額の少ない人も、法定減免制度を適用したとしても払える額でなく、結果として入所制限がされた状況になっています。増大する介護ニーズにこたえるため国庫負担分を2分の1に引き上げること、当面30パーセントに引き上げることを求めるべきです。利用料値上げや新たな利用料負担をせず、国の責任で低所得者の保険料、利用料の減免制度を作ることを今こそ求めるべきですがいかがですか。更に介護保険導入時に採られた特別養護老人ホーム入所者に対する激変緩和措置の期限が今年度で切れます。ある施設では、年金などの収入以上の利用料が掛かる人が6人、国保料、介護保険料などを払うと手元に1万円しか残らない方が8人で14人がたちまち困るとのことでした。負担できない方は施設から追い出せというのでしょうか。こうした実態をまずつかみ国に対し措置の継続を求めるべきですがいかがですか。併せて京都市独自の保険料、利用料の減免制度を拡充すべきです。お答えください。 第2に、要支援や介護度1の人たちをヘルパーなどの介護保険から排除しようとしている問題です。見直しでは、軽度者に対し介護保険のサービスが十分効果を挙げず重度化をもたらしているとの意見が紹介され、それを根拠に生活援助を切り捨て介護予防として筋力トレーニングなどに置き換えようとしているものです。余りにも乱暴でヘルパーの介護が果たしている生活支援の効果を無視したものだと言わなければなりません。現在ヘルパーを利用している方の60パーセント以上が軽度者であり、軽度者に最も求められている介護サービスともなっています。膝や腰痛などで掃除機が掛けられず、掃除援助にヘルパーさんが入るわけですが、筋力トレーニングをしたらできるようになるわけではありません。病気が治るわけではないのです。更に週1回のヘルパーの訪問は実質的な援助と共に精神面での大きな支えともなっています。結局、財政負担を減らすためにサービスを切り捨てるものではないでしょうか。軽度認定者を介護保険から排除すべきではありません。軽度者の介護サービスを削減しないよう国に要望することを強く求めますがいかがですか。 第3に、特別養護老人ホームの待機者の問題です。入所を希望しても入所できない人は、市の調査でも2002年1月で2,033人でした。当時で2年、3年と待たないと入所できないと言われていましたが、現在では各施設の申込数は数百人以上登録されていて、その合計は約1万人です。一体どのぐらい待てばよいのか全く分からないと状況は悪化しています。施設が不足していることは明らかです。本市として待機者数を常に把握するシステムを作ることと必要な施設建設を進めるべきです。いかがですかお答えください。 第4に、京都市が緊急に改善すべき問題について質問します。一つはケアマネジャーについてです。介護保険制度を利用するときに必要な介護認定を受けることとケアプランを作成することを京都市は民間のケアマネジャーに全面委託しています。今そのケアマネジャーが不足し、新規の受付ができない状況にあります。市も深刻に受け止め7月に緊急の調査をされていますが、実に4分の3の事業所で新規受付ができないという驚くべき結果が出ています。介護認定さえもまともに受けられないことは制度を根幹から揺るがすものです。ケアマネジャーがたくさんのケースを抱え精神的に参ってしまい辞めていく方もあります。居宅介護支援事業所の安定した運営と質の向上が全体で確保できる運営、財政面での援助が必要です。京都市自身が認定調査を実施することも含め一刻も早い対応が必要ですがいかがですか。 もう一つはショートステイについてです。在宅で介護を受ける中でなくてはならないサービスです。しかし現場では、本当は施設入所希望だけど入れないのでとにかく少しでも長く預かってほしい。こういった方が多く常にベッドは満杯状態ですし全体を調整する機関がないため各事業所が個別に空きベッドを探すため膨大な仕事量となっています。ショートステイのベッドは大幅に足りません。施設建設を急ぐと同時に利用者のサービス提供を円滑に進められるよう空いているショートステイベッドの管理調整を介護保険導入前にやっていたように京都市が実施すべきではありませんか、いかがですか。介護保険制度の見直しに当たり、国も京都市も創設時の目的に立ち返り憲法25条を踏まえた検討と対応が求められることを指摘するものです。 次に精神保健、医療、福祉について質問します。現在、統合失調症、うつ病、アルコール依存症など精神障害者は増加傾向にあります。統合失調症は100人に1人が発病する可能性があると言われ、うつ病などに至っては10人に1人とも言われています。誰もがなり得る病気として、医療、保健、福祉の充実が求められています。京都市においては、平成9年にこころの健康増進センターが開設され、保健所との連携や相談事業等一定の前進がありました。しかし医療、福祉分野、就労問題はいまだに深刻な状況が続いています。平成11年度から14年度までの4年間は、京都市こころのふれあいプランが取り組まれましたが、施設設置などほとんどが50パーセント前後の達成率でした。平成15年3月策定の京都市障害者施策推進プランでは、身体、知的、精神の3障害を一緒にしたプランとして仕切り直しがされ、遅れている精神福祉施策が進むことに期待が懸かったわけですが、国の施設認可の絞り込みもあり京都市のプランも進んでいないのが現状です。昨年度の国の社会復帰施設の申請に対する認可状況は5割だったという報告を聞いていますが、耳を疑うような状況です。国に対しての働き掛けは市として積極的に行うべきです。本年9月に厚生労働省は、精神保健医療福祉の改革ビジョンを発表しました。入院治療中心から地域生活中心へという方針で、国民の意識変革と立ち後れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後10年間で進め、その結果として受入条件が整えば退院可能者約7万人を解消していくというものです。しかし国の施設などの認可に歯止めを掛けるやり方ではベッド削減ばかりが先行しないかと心配になります。今後、精神障害者の社会復帰と地域生活を支えていく上で保健所と連携を取り重要な役割を持つのが地域生活支援センターです。19年度までに10箇所の設置計画ですが、現在やっと4箇所です。かかわる仕事の内容や今後退院促進事業のコーディネーター的役割を果たそうとするならば行政区に1箇所以上は必要と思います。私は、ある研修会で寝屋川市の退院促進事業の実績を聞きましたが、1人の方に何度も何度もきめ細かく対応されて、やっと何とか20年ぶりに退院してアパートに1人で住めるようになったというケースの援助に感銘しました。極めて専門的な援助が要る分野であることも認識しました。退院促進事業を進め身近な相談所としての役割を持つ地域生活支援センター10箇所の設置は達成年度を待たずに早急に進めるべきと考えますがいかがですか。 在宅ケアシステムの体制として、症状によっては引きこもりがちで受診行動がなかなかできない方のために早期発見、治療のためにも往診、訪問看護やヘルパー派遣などの体制が急がれます。更に通院がしやすい環境づくりも必要です。そこで通院の保障となっている通院医療費公費負担制度について質問します。病状にもよりますが、就労が困難な方が多い中で医療費の負担は大変です。精神保健福祉法32条の通院医療費公費負担制度は本人負担5パーセントという制度で平成14年度は1万6,557人が適用を受けています。制度の継続は切実な願いです。しかし費用が急増していることに着目し、厚生労働省の改革ビジョンでは実態や状況などを分析し必要な対応を検討し結論を出すとあり、関係者や患者、家族から不安の声が広がっています。入院生活から地域生活への施策を進めていく上でも重要な通院治療の保障となるものですから、継続することを国へ求めることと京都市としても堅持の立場を強く求めます。いかがですか。 家族にとって急性期や再発の際の不安定な状況で緊急に受診や入院する際の搬送の問題は深刻です。救急車は、入院の意思が患者さんにあることと緊急性がない限り対応はしてくれません。パトカーが対応してくれたが、まるで大変な事件のような状況になり、後々までその地域で暮らしていく上でも辛い思いをしたという切実な声もあります。タクシーなども相当な理解がないと困難です。家族での搬送が困難な場合の搬送システムを作るべきと考えます。精神科救急情報センターが順調に稼働してきている中で搬送面での援助もできるのではないかと考えます。例えば福祉タクシーなどの取組がタクシー業界でもされています。教育研修などを受けていただき、依頼があった場合、センターで受け付けて派遣するシステムはできるのではないでしょうか。切実な家族の要望に是非ともおこたえください。 次に就労支援、働く場の問題について質問致します。障害者支援策の中で最も遅れているのが就労支援と言えます。中でも精神障害の分野は最も遅れています。通所授産施設は現在2箇所しかありません。小規模通所授産施設や共同作業所はNPO法人や民間団体の努力で30箇所あります。1箇月一生懸命に働いても1万円の賃金も出ない、時間給100円と言われるような現状を打開すべきです。更に社会参加を進めるために理解ある協力事業所を通して社会生活適応のための訓練を行う事業がありますが、訓練は原則6箇月、必要に応じて3年まで更新されます。事業所には1日2,000円の委託料がありますが、訓練生には手当などありません。そして3年後、働く場があるかといえば、折角の訓練が生かされない状況にあります。京都市として授産施設の建設をまず進めることと社会生活適応訓練生への手当の改善などを進めるべきと考えますがいかがですか。 次に今年4月から実施の総合制・地域制養護学校におけるクックチル給食について質問致します。障害を持つ子供にとって学校における給食の内容や摂取状況は学校と保護者が共有すべき大事な情報です。とりわけ重度の障害児の保護者にとって、担任はもとより学校に出掛けた際は栄養士や調理師の方と今日のおかずは食べやすいようだったね、家ではどうやなどの会話が常にあったそうですが、現在は給食の様子が分からない。先生に聞いても詳細なことは答えてもらえないと落胆されている方もおられます。試食会では中華の和え物が出てきたが、和え物とは食べる前に和えるからこそ食材の良さが引き立ちおいしいものなのに二、三日前に和えている状況ではおいしくないとの感想でした。更に導入前からクックチルの方式にそぐわないと言われていためん類も月に1回はメニューにあるようですが、これもめんのおいしさ、食感がなく、5月のときには焼きそばが団子状態で食べられなかったということです。更に再調理をしないハサップ方式で衛生上安全だと説明されていましたが、微妙な子供の障害に合わせ食べやすくするために再度ミキサーを回すなどの再調理が必要となっています。本来、導入の際に行われる試行期間もなく、やってみなければ細かい点は分からないという状況で食べること自体が命懸けの障害を持った子供がいる養護学校に導入したことは大問題です。一刻も早く対策を取るべきです。以前のとおりの自校方式による学校給食に戻すべきと考えますがいかがですか。 最後に子供の医療費助成制度について質問します。本年10月に報告された京都市子育て支援に関する市民ニーズ調査において、子育て環境についての設問で、市・府・国に期待する子育て支援策について見ると、就学前児童の保護者では乳幼児医療費の軽減や小児医療体制の充実など医療サービスの充実が44.4パーセントと最も多い回答でした。私が地域でお聴きする要望の中でも切実な願いです。この願いはどこに住んでいる親でも当たり前の要望です。京都市においては京都府と同様で入院は就学前まで無料となり、通院は3歳以上で8,000円を超えた費用のみ償還払いされることになりました。しかし他の政令都市ではもう一歩進んで、名古屋、大阪、さいたま、神戸市など就学前までに助成枠を広げています。京都府内においても進んでいなかった南部の地域で城陽市が今年の4月から就学前まで助成拡大をし広がっています。京都市基本計画第2次推進プランでは、平成16年度から20年度までずっと対象拡充の動向の把握と検討になっており、経費はゼロで検討に要する予算さえ組まれていません。市民ニーズ調査の結果も踏まえ、乳幼児医療費助成制度は外来も無条件に就学前まで拡充すべきと考えますがいかがですか。以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 玉本なるみ議員の御質問にお答え致します。 介護保険における保険料、利用料の減免制度についてでございます。介護保険制度につきましては、高齢者の介護を社会全体で支えていくため創設された全国一律の社会保険制度であり、現在、国において制度全般にわたっての見直しが検討されているところでございます。京都市と致しましては、被保険者の皆様や地方自治体に過重な負担を招かないよう、また低所得者の方々がサービスの利用を制限されることがないよう国の責任において全国一律の考え方に基づいて適切な措置を講じることが必要であると考えております。このため、かねてから他の大都市とも連携し国に対して強く要望しているところでございます。 以下、松井副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中セツ子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕 ◎副市長(松井珍男子) 私からは4点についてお答え致します。まず介護保険制度施行前に特別養護老人ホームに入所している方に対する利用料や食事負担等を軽減する経過措置についてでございます。この経過措置につきましては、国が定めたとおり平成17年3月で終了することから、終了後は制度上の食事代の減額や高額介護サービス費の支給あるいは施設を運営している社会福祉法人による利用者負担減免等を適用することにより引き続き施設に入所していただけるよう適切に対応して参ります。また本市独自の保険料減額制度につきましては、15年4月にその適用基準を大幅に緩和し、15年度の適用者数は前年度の約2倍となる2,003人となっているところでございます。 次に要支援や要介護1に認定された軽度の要介護者に対する介護サービスの在り方についてでございます。軽度の要介護者に対しましては、自立支援や重度化の防止に向け介護予防サービスを提供していくことが非常に重要であると認識しております。現行の介護サービスの在り方につきましては、現在国において検討が続けられておりますが、本市と致しましては真に必要なサービスとは何であるかを慎重に検討したうえ、介護予防やより地域に密着した適切なサービスが構築されるべきと考えており、他の大都市とも連携しながら国に対して要望しているところであります。 次に通院医療費公費負担制度についてでございます。この制度は精神に障害のある方に必要な医療が継続的に確保されるよう実施しているものであります。先に発表された国の精神保健医療福祉の改革ビジョンにおきましては、あるべき費用負担などこの制度の在り方について検討し早急に結論を得ることとされております。本市と致しましては、精神障害者施策が入院医療中心から地域生活中心へと変化する中にあって、必要な通院医療を受ける機会が損なわれることのないよう国の検討状況を注視しつつ必要な要望を行って参ります。 最後に乳幼児医療費助成制度についてでございます。昨年9月の対象年齢の拡充により受給者証交付者数は現在約5万1,000人となっており、今後3年間は毎年約1,000人の増加が見込まれています。また3歳以上の方の外来分の償還払いは月平均約300件、平均支払額は約5,000円と比較的高額であり、子育て家庭の経済的負担の軽減に役立っているものと考えております。更なる拡充につきましては、本市の厳しい財政状況を踏まえ引き続き受診動向等を見極めて参ります。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 折坂保健福祉局長。 〔折坂保健福祉局長登壇〕
    ◎保健福祉局長(折坂義雄) まず特別養護老人ホームの待機者数の把握及び施設建設についてでございます。本市におきましては、京都市民長寿すこやかプランに基づき介護保険施設の基盤整備を着実に推進するとともに、平成15年7月からは京都市老人福祉施設協議会と共同して策定した京都市介護老人福祉施設入所指針に基づき真に入所の必要な方が少しでも早く施設に入れるよう取組を進めているところでございます。待機者数の把握につきましては、入所を希望している高齢者や家族の皆様等の現状や意識を把握するための調査を今年度実施し、これに基づきましてニーズに即した介護保険施設の整備目標量を次期プランの中で明らかにして参ります。 介護保険のケアマネジャーについてでございます。制度運用のかなめであるケアマネジャーの実態につきましては、介護報酬の改定なども踏まえ本年7月、市内の居宅介護支援事業所を対象に調査を実施致しました。この結果、新規利用者に応じることが可能とした事業所は170箇所あり、区役所、支所を通じてこれらの事業所を新規利用者に御紹介することなどにより対応ができております。このため認定調査につきましては、制度の適正化を目的としたものを除き本市が直接実施する考えはございません。またその運営につきましては介護報酬で賄われるべきと考えております。 ショートステイについてでございます。まずショートステイのサービス量につきましては、京都市民長寿すこやかプランの見込量どおり緊急時に利用できる本市独自のショートステイ50人分を含めて現在595人分を確保しており、また新たに46人分の整備を行っているところでございます。このため現在においてはゴールデンウイークなどのピーク時を除きまして利用できないといったようなことは生じていないと考えております。 次に行政が集中的にショートステイの管理調整を行うことにつきましては、介護保険制度が利用者の選択に基づき施設との直接契約によって利用するものであることから制度の趣旨にそぐわないと考えており、各区におけるサービス事業者連絡会等での情報交換を行っているところでございます。 次に精神障害者地域生活支援センターの設置についてでございます。この施設は精神に障害のある方に対し日常生活の相談、助言や福祉サービスの利用援助等を行う重要な施設であります。受入条件が整えば退院できる精神に障害のある方の自立の促進につきましては、現在京都市精神障害者自立支援検討会議の中で検討しておりますが、この取組を進めていく上でこの施設は大きな役割を果たすものであります。このため京都市障害者施策推進プランの数値目標の達成に向け今後とも着実な取組を進めて参ります。 精神に障害のある方の病状が急変した場合等における搬送システムについてでございます。入院を要する場合の対応につきましては、直ちに入院させなければ著しい支障があるいわゆる措置入院の場合は、保護者、本人の同意がなくても可能でございます。その搬送についても本市の責任において実施しております。しかしながら任意入院の場合におきましては、原則として本人の同意に基づいて入院が行われるよういわゆる精神保健福祉法に規定されており、その困難性が御家族の大きな悩みでございます。同意がある場合におきましては医療相談を行っている保健所や精神科救急情報センターにおいて搬送方法についても関係機関の御協力を得て対応しております。 精神に障害のある方に対する就労支援についてでございます。授産施設につきましては、福祉的就労の場として大きな役割を担っていることから、今後とも障害者施策推進プランの数値目標の達成に向け取組を進めて参ります。また社会適応訓練事業につきましては、協力事業所数や訓練対象者数において他都市より充実した内容の取組を行っておりますが、訓練生への手当支給につきましては雇用ではないため困難であります。本市と致しましては、一般就労へのステップとなるよう更なる内容の充実に努めて参ります。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 総合養護学校での最新技術を駆使したクックチル方式での給食についてでありますが、この方式によりグラタンや焼き物など今まで不可能であった多彩な献立が可能となり、更に一人一人の障害や発達の状態に応じたきめ細かい特別食やアレルギー対応食などの実施、年齢に応じた献立数の大幅増加など給食内容が大きく改善でき、しかも日に日に充実してきており、玉本議員の御指摘とは異なり、保護者、児童生徒はもとより教職員からも大変好評を得ております。準備の段階から保護者や学校現場と協議を重ね意見を十分に踏まえて取り組んできたものであり、今後とも給食の一層の充実に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 次に、市政一般について、津田早苗議員に発言を許します。津田議員。 〔津田早苗議員登壇(拍手)〕 ◆(津田早苗議員) 伏見区選出の津田早苗でございます。私は、公明党京都市会議員団を代表致しまして市政一般について質問致します。市長並びに関係理事者の皆様におかれましては何とぞ誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。 初めに台風23号及び新潟県中越地震で犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りしますとともに、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。また京都市の職員の方々の支援復旧活動に対し敬意を表しますとともに感謝申し上げます。 〔田中議長退席、久保副議長着席〕 ◆(津田早苗議員) (続)私も10月23日と24日、宮津市、福知山市へと救済支援に行き、たくさんのボランティアの方々と共に土砂を取り除く復旧作業をして参りました。宮津市の公明党議員一家は、御自分の家が立入禁止区域になっているため体育館での被災生活をしながら地元の皆様を激励し、骨身を惜しまず率先垂範の復旧作業をしております。一日も早い復興を願っております。 まず安心、安全のまちづくりの防犯についてお伺いします。近年様々な凶悪犯罪が続発し、安心安全のまちづくりのための防犯対策は住民の切実な願いとなっております。1980年代には約150万件だった犯罪発生件数が現在では2倍の300万件にも達しています。中でも昨日奈良県で小学1年生の女児の誘拐、殺害と悲惨な事件がありましたように子供を取り巻く犯罪が相次ぎ、子供の安全対策が緊急の課題となっています。一方ではピッキングによる空き巣や引ったくり事件も多発し、住民は身近な地域社会の中でいつ犯罪に巻き込まれるか分からないという不安を募らせています。私も先日、安心・安全まちづくり京都大会へ参加させていただきました。会場には多くの方が詰め掛けておられ、安心安全に対する市民の皆様の関心の高さがよく分かりました。地域の防犯は自主的な取組でと始めた八幡市自治連合会の防犯・交通パトロール隊や門灯点灯運動で空き巣や引ったくりが減少した桂東学区自治連合会などそれぞれの地域の課題に取り組んだ活動は地域の皆様の団結と持続のたまものだと感じました。地域住民などによる自主防犯団体の設立は全国で活発化していて、ご近所付き合い広目隊、愛犬家のわんわんパトロールなど全国で約3,000団体、18万人が防犯活動に取り組んでいます。これら各種の防犯パトロールは、単に犯罪防止効果だけではなく地域住民のきめ細やかな心配りがそのまま地域コミュニティを構成することになり犯罪に強いまち、犯罪を寄せ付けないまちづくりになると期待されています。 京都市におきましては、仮称安心安全ネット戦略プランが16年度中に策定される予定になっております。策定に当たり地域の安心安全ネットワーク形成事業が東山区六原、下京区修徳、南区吉祥院、伏見区砂川の4小学校区で今年度のモデル事業として行われています。私の地元伏見区の砂川小学校では、宇治市の小学校への侵入事件を受けて今年の4月から地域の子供の安全は地域で守ろうを合言葉に校区の住民の方々がボランティアで学校の正門に設けたテントに常駐して児童の安全を見守っています。開かれた学校づくりと学校の安全が地域との連携により整い学校関係者や保護者の方々も大変喜んでいらっしゃると聞いております。京都は明治以前から番組という住民自治の単位を継承する形で小学校を拠点とする学区が形成されています。今でもその活動は活発であり住民の組織力も高く、地域住民の盛り上がりを活用しない手はないと思います。今年度モデル事業の分析を踏まえ、地域の特色を生かし多くの住民を巻き込んで地域のことは地域で守る、地域のことは地域で決める等自主的に各種団体の多様なボランティア活動ができると思います。以上の観点から区役所のまちづくり推進課の職員が学区担当コーディネーターとして警察、区役所、保健所、消防署などの縦割り行政を横断的に推進すべきではないでしょうか。市長の御見解をお聞かせください。そして地域の安心安全ネットワーク形成事業は、19年度に行政区でモデル事業を実施する計画になっておりますが、前倒しして地域の自主性を十分に尊重した住民からの盛り上がりの事業となるよう17年度から各行政区でモデル事業を実施してはいかがでしょうか。 次に京あんしんこども館について質問致します。8月26日に私たち公明党京都市会議員団が子供の生命を守るために設置を強く要望して参りました全国初の子ども保健医療相談・事故防止センター京あんしんこども館が梅屋小学校跡地に第二赤十字病院との連携の下開設されました。次代を担う子供たちが健やかに成長してほしいとの思いのこもったすばらしい施設です。我が国では1960年以降の40年以上にわたって1歳から14歳の子供の死因は不慮の事故が第1位を占めています。厚生労働省は2000年に21世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンとして健やか親子21を策定しました。2010年までに不慮の事故による子供の死亡率を半減することを目標と掲げましたが、具体的な防止対策がない限り事故は防げません。乳幼児を持つ保護者でも子供の死因のトップが不慮の事故だと知っている人は5割から6割にすぎず、事故に遭うのは運が悪かったからで、次からは子供から目を離さずにいようと思うくらいです。例えば誤飲事故を考えた場合、3歳児が口を開けたときの最大口径はおよそ39ミリです。3歳児以下の玩具等身の回りのものを39ミリ以上にすれば子供は誤飲することはありません。子供の事故の原因は大人が作っている場合が多くあり、社会全体が配慮すれば予防できるはずですと第二赤十字病院長村小児科副部長が話してくださいました。また長村副部長がアメリカカリフォルニア州の事故防止センターを視察した折に、事故防止の重要性を学ぶ体験学習モデルルームや展示コーナーがなく驚いたそうです。その体験を基に京あんしんこども館では子どもセーフティハウスという一般家庭の居間や風呂場を再現し、事故が起きやすい状況を指摘したり子供の視野の狭さやチャイルドシートの装着が体験できるコーナーが設けられています。また全国で初めて事故防止に関する調査委員会を設け、子供の事故データの収集と分析、その結果から防止対策の戦略立案や普及啓発に乗り出したことで注目されています。 そこでお尋ねします。オープンしてから約2箇月間で913名の方が来館されています。土曜日、日曜日、木曜日は夜間も開館しています。保育所や幼稚園、児童館などの施設に従事する職員をはじめ、父母、祖父母など多くの市民の皆様に同センターを知っていただき、次代を担う子供たちの健全な育成を図るべきだと思います。市民の皆様への周知を今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。また、特に若いお父さん、お母さんの育児不安を解消するために大いに活用していただくことが大切だと思いますので母子手帳の中に京あんしんこども館の事業内容を記載して啓発していただきたいと思います。いかがでしょうか。 次に児童虐待についてお尋ね致します。なぜかわいい我が子を虐待するのかと全国で頻発している児童虐待に母親の一人として大変心を痛めております。本年から11月を児童虐待防止推進月間と定められました。昨年度の児童虐待相談処理件数は全国で2万6,569件、前年より2,831件増加しています。京都市の相談処理件数は348件で、うち286件が虐待と驚くべき数となっています。本年10月1日、子供を虐待から守る対策を強化した改正児童虐待防止法が施行されました。公明党の主張が随所に盛り込まれた改正法は、虐待の早期発見や緊急保護、自立支援などの体制が大きく前進した内容となっています。虐待の早期発見に有効な通告義務についても、虐待を受けた児童から虐待を受けたと思われる児童に対象を拡大され、異常な怒鳴り声が日常的に聞こえたり子供の体に多くのあざがあるなど周囲から見て虐待が疑われる場合に通告することが義務付けられ、より通報しやすい制度になりました。とはいえ栃木県小山市で幼い兄弟が同居の男性から虐待を受けた末、川に投げ込まれて殺害された事件は、周囲の人たちが虐待の事実を知り通報もしていたのに幼い2人の命を守れず大変に残念なことです。この事件でも問題になりました保護者以外の同居人による暴力については、保護者として看護を著しく怠る行為であり、いわゆるネグレクトとして定義されました。また警察の関与についても児童相談所が立入調査などを拒否された場合には児童の安全確保に万全を期す観点から警察に援助を求めるよう義務付けられ効果が期待されています。 京都市におきましては24時間いつでも虐待の相談や通告を受けることのできる子ども虐待SOS専用電話、通告後48時間以内に対応を行う子ども虐待防止アクティブチームの設置や虐待を受けた子供や虐待をした親などに対する心のいやしと親子関係の改善に向けた支援を行う親子ヒーリングルーム事業を開始し、相談から対応、その後のフォローまで一貫した支援体制が構築されております。11月1日から児童虐待防止のためのホームページを開設された取組は大いに評価したいと思います。深刻化する児童虐待に歯止めを掛けるために虐待防止について今後更なる取組をお聞かせください。 多発する児童虐待は予防や早期発見が大切です。予防強化策として、国の来年度予算の概算要求に育児支援家庭訪問事業の推進が盛り込まれました。これも公明党がマニフェストで強く要望してきたものです。出産後間もない時期又は家庭に問題を抱えている親などが対象になっています。京都市においても4箇月児健診で平成15年度該当人員が1万2,395名のうちの6.9パーセント、850名が健診を受けておりません。そのような家庭に保健師などが直接出向いて行って育児支援をすることで親の育児不安やストレスを解消して虐待を事前に食い止める予防や早期発見の効果が期待されると思います。また児童相談所が虐待で在宅指導を継承しているケースも今年の9月で496件と年々増加しています。在宅指導体制は大変に重要な役割だと思います。保健所や児童相談所では、早期発見に対し今後どのような具体的な取組をされるのかお聞かせください。 また近年は核家族化の進行や地域コミュニティの希薄化など子育て家庭を取り巻く環境が変化しています。乳幼児については在宅での育児が中心となっている家庭が多い関係上、かつてのように地域や近隣において適切な養育環境を確保することが重要になっていると思います。しかしこのような家庭にとっては、地域住民や子育て中のほかの親子と気軽に交流できる場所が少ないため、孤立した子育てを強いられることが多いことから子育てに喜びを持てず、かえって不安を感じ児童虐待などの事態に進展する可能性もあります。児童虐待の予防のためには、きめ細やかな子育て支援が重要となって参ります。地域においては住民による子育て支援活動が実施されたり、また自主的な子育てサークルの活動も徐々に増えてきてはいますが、子育て支援活動の拠点の確保や運営費などの課題を抱えています。地域では社会福祉協議会や民生委員、児童委員を中心として子育てサロン等の取組をしていますが、京都市としては自主的な子育て支援について具体的にどのような取組をしていかれるのかお聞かせください。 次に配偶者などから女性に対する暴力いわゆるDV、ドメスティック・バイオレンスについてお尋ねします。11月12日から25日までは女性に対する暴力をなくす運動期間です。京都市女性総合センターウィングス京都が実施している女性の悩み相談件数がここ二、三年で急増し、1994年の開設時480件だったのが2003年度は1,374件と過去最高になり、今年度は10月末で919件、昨年を上回る勢いで増えています。相談内容もDV法が施行されるまでは離婚問題が中心でしたが、施行以後は配偶者などから顔を殴られる、生活費を出さないなど精神的、経済的な暴力の被害を訴えるなどDV関連の相談が全体の3割を占めています。2001年10月、公明党の推進で誕生したDV防止法が見直され12月2日施行されます。内容としては被害者保護のために裁判所の保護命令の拡大強化を明記し、保護命令の対象を元配偶者にも拡大して離婚後の暴力にも対応できることとなり、また接近禁止の対象に子供を加え連れ戻すための面会を防ぎ、更には住居からの退去命令の期間を現行の2週間から2箇月に拡大されます。私もDV被害者の方から御相談をお受けしています。その折にはウィングス京都を紹介し、電話や面接に行っていただいております。その後、被害者が自立して生活するためには福祉事務所に相談に行っていただき、そこで就業の促進や住宅の確保、子育て支援等、被害者が自立して生活できるよう必要な措置を講じていただいております。横浜市や仙台市は、保健センターに婦人相談員を配置し、道先案内人として悩みの内容に応じ関係機関に連絡、紹介等適切な方法により指導助言を行っております。福祉事務所に婦人相談員がいることで、より身近に相談に乗っていただけます。そこでお尋ねします。DV改正法にもありますように福祉事務所による自立支援の役割が大変重要になってきます。福祉事務所においてDV関連の相談窓口を設置するとともに、婦人相談員を配置をしていただくことによりウィングス京都と福祉事務所が相互に連携を取りながら迅速な対応が行えると思いますがいかがでしょうか。 次に薬物乱用防止策についてお尋ねします。青少年を取り巻く薬物乱用の問題は、現代社会における大きな問題の一つであります。最近は薬物を入手しやすくなり、中高生の薬物使用で検挙の数が増え、小学生にまで薬物汚染が広がり低年齢化は深刻さを増しています。子供たちを守るためには、家庭、学校、地域がそれぞれに応じた役割を果たすとともに三者が一体となった取組が大変に重要です。今年2月、中学校2年生の男子生徒が合成麻薬MDMAの購入金欲しさに強盗した事件が身近で起こり大変にショックでした。青年期はたばこ、酒など入門薬物と言われる依存性薬物を使用するきっかけが起こりやすい時期であり、また心身の成長途上にあるため依存状態に陥りやすく人格の形成が妨げられるなど薬物の影響が現れやすいときです。青年期の問題行動は、喫煙に始まり飲酒、安価で入手しやすいMDMAなどを併用して異性交遊と進み性感染症やエイズに進んでいきます。したがって初等中等教育で薬物乱用防止に関する指導が極めて重要になると思います。薬物乱用防止教室は、全国の高校の55パーセント、中学校48.7パーセントで行われておりますが、まだまだ十分とは言えません。学校における薬物乱用に関する指導は、児童生徒に単に薬物に対する知識を教えるだけではなく、薬物の乱用は自分のために行うべきではないし、社会的にも絶対に許されることではなく、駄目、絶対という意識を身に付けさせることが重要であります。薬物乱用や再乱用防止のためには早期発見、早期対応が必要です。保健所、精神保健福祉センター、児童相談所、福祉事務所、更には警察、麻薬取締官事務所に相談窓口が設置されております。これらの相談機関の積極的な活用を図るため電話相談窓口の電話番号を記載した電話相談カードを作成し、中高生に対して配付するとともに青少年向けの雑誌やポスター等により相談窓口を周知させてはいかがでしょうか。 伏見保健所では、昨年度から保健協議会と薬物乱用防止指導員協議会が中心となって、所轄の警察、京都府の薬務室、京都市地域医療課と連携を取り各学区や団地等で10人から100人規模の薬物乱用防止のお話会を開催されており、この夏私も参加させていただき大変勉強になりました。このお話会では、地域の方々が熱心に質問して警察や保健所の担当者が答えており、このような会について青少年や地域の方々へ周知することが必要だと思います。薬物に対しては、児童生徒への指導は保健体育等の授業の中でされてはいますが、学校でできることは徹底的に予防教育することであり、教育委員会、学校と警察、保健所などの関係機関との連携と家庭への働き掛けが必要だと思います。そして長期休みの前や放課後を利用して中学校、高校などの生徒を対象に薬物根絶の講演会、勉強会を積極的に開くべきであると考えます。市長のお考えをお聞かせください。 次に自動体外式除細動器AEDの設置、普及についてお伺いします。AEDの設置について、9月市会定例会におきまして我が党の同僚議員が一般質問致しました。その際に市立病院や駅、学校など公共施設や観光施設等への設置を広めることにより市民や観光客の安全の確保に大きく寄与できると指摘しましたところ、松井副市長よりAEDの使用も含めた応急手当の普及活動を積極的に推進し、その設置についても働き掛けて参りますと答弁いただきました。そのような中、11月市会定例会において補正予算案にAEDの設置、普及啓発として1,500万円が計上され、保健福祉局で本市施設に37台を整備するとともに消防局で講習会や普及啓発等を実施するとのことで我が党の要望が速やかに実現されることとなり大変うれしく思います。AEDについては京都府も17台の設置を決めていますが、京都市においては台数も多く、それらを有効に設置することで市民のAEDに対する認識も高まり非常に心強いものとなると思います。公共施設ということで西京極総合運動公園や京都会館、コンサートホール、人・まち交流館や教育普及の観点から学校等に設置されることを強く望みます。今後ますますAEDが普及し、市民の認知度が高まり価格も手ごろになれば、今一般に普及しているような家庭用血圧計の感覚でAEDも取り扱っていけると思います。そのためにも市民や企業、デパート等の商業集客施設への普及啓発については誠に重要であります。つきましては普及啓発を具体的にどのように行っていくのかお聞かせください。また一般の市民にも使用できるための講習会等をどのように開催していかれるのかお聞かせください。 私たち公明党は11月17日で結党40周年を迎えました。今後とも大衆と共にの立党精神を胸に人間主義の理念の下、一生懸命に頑張って参ります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保省二) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 津田早苗議員の御質問にお答え致します。 初めに安心安全のまちづくりについてでございますが、京都ならではの自治の伝統に培われた自治会や各種団体による熱心な取組が市民生活を守る大きな力となっており大変心強く感じております。私は、この市民主体の地域の力を安心安全のまちづくりに最大限発揮していただく仕組みづくりが重要であると考え、防犯、防災、子供たちの安全対策、地域福祉などの分野において学区単位で身近な安心安全の確保に向けたモデル事業を今年度から開始致しました。この取組は区役所がコーディネーターの役割を果たし、小中学校、消防署、警察署等と連携を図りつつ地域の皆様と協働で進めて参っております。今後は様々な不安や危険に対する総合的な安心安全ネットを構築する全市的な戦略プランを策定するとともに、今年度のモデル事業の取組成果を基に津田早苗議員御提案の学区担当コーディネーターを念頭に置きつつ19年度にこだわることなく一日でも早く全行政区でモデル事業を完了し、更には全学区に地域の安心安全ネットを広め、安心安全のまち京都の実現に全力を傾注して参ります。 次に児童虐待の防止や発見についてのお尋ねでございます。児童虐待は次代を担う子供たちの心と体に深い傷痕を残し、時には尊い生命さえ奪うことがあるという深刻かつ重大な社会問題でございます。命と人権をはぐくむ子育て支援都市京都を創造していくためには、その根絶に向け全力を挙げて取り組んでいくことが必要であります。本市におきましては、児童虐待対策の専門的かつ中核的施設である児童福祉センターに虐待対策を専門に担当するアクティブチームを設置し、国基準を大きく上回り政令市1位となる職員を配置致しております。相談、通告件数につきましては、今年度に入って過去最高を記録した平成13年度を上回るペースで増加しており、また継続的に在宅指導、援助を行っている方が年々増大して参っております。また児童福祉センターは、虐待以外にも発達障害や非行など多様な児童問題にも取り組んでいることから、今後のあるべき姿を検討していくことが必要と考えております。更に虐待の未然防止のため、これまでの早期発見、迅速な初期対応という取組に加え、その予防にまで踏み込んだ具体的な取組を進めていくことが必要であります。津田議員御指摘の国が推進する育児支援家庭訪問事業につきましては、虐待の未然防止や再発防止に寄与するものでございます。この事業によりまして乳幼児健診未受診者などに対し受け身ではなく積極的に各家庭を訪問することによって子育てに不安を抱きながらも自ら支援を求めず問題を深刻化させている養育困難な家庭を早期に発見することが可能となります。このため保健所、福祉事務所をはじめとする地域の関係機関の連携の中で、この家庭訪問によって育児支援を図っていく新たな制度を平成17年度秋には実施して参ります。 次に薬物乱用から子供を守るための方策についてでありますが、今日の社会は、薬物乱用の低年齢化や、その危険性に対する意識の希薄化が進行するなど極めて憂慮すべき状況にあります。大人社会の一部にある子供を利用する風潮を根絶させるとともに、子供たちに薬物が人間性を喪失させる恐ろしいものであることを徹底して教えることが重要でございます。このため本市では津田議員御指摘の専門家による講演や薬物乱用防止教室が数多くの中学、高校で実施されてきております。また保健所等において地域、保護者向けの学習会も行っており、今後とも関係機関連携による啓発の機会の拡充を図って参ります。加えて今年度策定する安心安全ネット戦略プランにより関係機関や諸団体との緊密なネットワークをより強固にし、市民ぐるみで薬物から子供を守り薬物乱用を許さない社会の構築に努めて参ります。 以下、副市長、子育て支援政策監及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(久保省二) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕 ◎副市長(松井珍男子) 私からはドメスティック・バイオレンス被害者に対する支援についてお答え致します。本市におきましては、京都府が設置する配偶者暴力相談支援センターと連携しながら京都市女性総合センターウィングス京都においては女性に対する暴力専門相談を、福祉事務所においては母子生活支援施設への入所をはじめとした自立支援施策の実施などを行っているところであります。更に今年度市内4箇所目となる新たな母子生活支援施設の整備を進めております。津田早苗議員御指摘のとおり、今般配偶者暴力防止法が改正され、福祉事務所による自立支援が規定されたことから、今後この趣旨を踏まえまして福祉事務所が果たすべき役割について十分検討して参りたいと思っております。以上でございます。 ○副議長(久保省二) 毛利副市長。 〔毛利副市長登壇〕 ◎副市長(毛利信二) 自動体外式除細動器いわゆるAEDの普及啓発についてでございますが、津田議員御指摘のとおり市民の皆様はもとよりデパートなどの商業集客施設への普及啓発が大変重要であると考えております。今年度中には、まずこれらの施設関係者を対象にAEDの有効性について御理解いただくための様々な説明会を開催致しますなど設置の促進に取り組んで参ります。また市民の皆様に対するAEDの講習会の開催についてでございますが、現在御承知のとおり国におきましてAEDの取扱方法などを組み入れた新たな普通救命講習の内容が検討されておりまして、年内にもそのカリキュラムが示される予定でございます。したがいましてテキストなどの教材を整備致しました上で、17年度からは自主防災会の方々など市民を対象とした新たな普通救命講習を市民防災センターや消防署などで本格的に展開して参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(久保省二) 浅野子育て支援政策監。 〔浅野子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(浅野明美) 京都市子ども保健医療相談・事故防止センター京あんしんこども館についてでございます。この施設は本市が目指す子育て支援都市京都、安心安全のまち京都を具体化する新たな施設として子供たちが未来に向かって健やかに成長していくことができるよう願い8月26日に開所致しました。開館以後2箇月で約1,000人の来館があり、長時間にわたりきめ細やかな医療相談ができる、子供の事故のメカニズムが非常によく分かるといった評価をいただいております。今後は京都市保育園連盟や京都市私立幼稚園協会などの団体と連携し職員の方の研修などで御利用いただくとともに、家庭における事故防止講座といった事業を通じて更に多くの市民の皆様に御来館いただけるよう努めて参ります。また津田早苗議員から御提案いただきました母子手帳での事業紹介をはじめ乳幼児健診の会場におけるパンフレット配布など様々な機会を積極的に活用し周知を図って参ります。 次に地域の自主的な子育て活動への支援についてでございます。近年、少子化や核家族化の進行により地域コミュニティが希薄化し、家庭や地域の養育力が低下している中で地域団体を中心とした子育てサロンや子育て中の親やボランティアなどによる子育てサークルなどの自主的な活動が活発になりつつあります。本市では、これまでから区子供支援センターや学区単位で設置する地域子育て支援ステーション、こどもみらい館において情報提供や専門的な助言を行うなど地域や家庭での子育て活動について支援を行って参りました。地域ぐるみで子育てを支え合えるまちづくりは今後の取組の大きな柱の一つであります。このため活動拠点の確保など地域における住民相互の様々な子育て支援活動を側面から支える施策について、今年度中に策定する新京・子どもいきいきプランに盛り込んで参ります。以上でございます。 ○副議長(久保省二) 折坂保健福祉局長。 〔折坂保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(折坂義雄) 薬物に係る相談窓口の周知についてでございます。薬物乱用問題につきましては、津田早苗議員御指摘のとおり薬物が簡単に入手できたり乱用の低年齢化が進んでおり、現在国及び都道府県を主体として薬物の密輸入阻止や青少年の乱用防止対策などの事業が実施されております。本市におきましては、薬物乱用の恐ろしさを訴える啓発活動に取り組み、区民ふれあいまつりなどにおける啓発コーナーの設置、ポスターの作成や物品の配布など新たな乱用者を作らないための取組を進めております。また相談事業と致しましては、各保健所や京都市こころの健康増進センターにおいて専門医と相談員が相談に応じております。薬物乱用防止につきましては、行政のみならず教育現場、地域社会が一体となった取組が重要でございます。今後京都府及び警察や地域関係団体と連携を図りつつ様々な相談窓口の周知につきましても実現できるよう取り組んで参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保省二) 暫時休憩致します。 〔午前11時50分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(久保省二) 休憩前に引き続き、会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保省二) 休憩前の一般質問を継続致します。 次に、市政一般について、久保勝信議員に発言を許します。久保議員。 〔久保勝信議員登壇(拍手)〕 ◆(久保勝信議員) 山科区選出の久保勝信でございます。私は公明党市会議員団を代表致しまして市政一般について質問致します。 まず初めに、この度相次いで日本列島を襲った台風並びに新潟県中越地震の被害に遭われた皆様に対しまして心からお見舞いを申し上げます。今年は台風23号など過去最多の10個の台風が上陸し、死者、行方不明者が220人を超える甚大な被害をもたらしました。そのうえに新潟県中越地震であります。今なお余震が続き多くの住民が避難生活を余儀なくされ、避難者は寒さと疲労が重なり不安の色を一段と濃くしております。私は10月23日、24日の両日、台風23号による河川のはん濫や浸水被害に見舞われた福知山市、そして宮津市の滝馬地区に行かせていただき、ボランティアの方々と一緒に泥出しなどの清掃活動を手伝わせていただきました。全国から集まってこられたボランティアの皆様の行動がどれほど被災者の方々の励ましになりましたことか、心から敬意を表する次第であります。また市職員の皆様の現地への応援、支援に対しましても御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。 さて災害復旧支援において最も大切なのは、いかにスピーディーに対策の手を打っていくのか、いかに知恵を絞って現地のニーズにこたえるきめ細かい対策を講じていくのかの対応力であります。災害は避けては通れない大変重要な問題であります。防災は行政による公の助け公助、地域の連帯による共に助ける共助、そして自らを助ける自助、この三つが力を合わせて地域社会の防災力を高めていくことが必要ではないでしょうか。 これらのことを前提に次の2点について質問致します。1点目は水災害の対策についてであります。今年は集中豪雨と台風の大雨による災害が次々と発生しましたが、避難勧告や避難指示の発令の遅れや伝達が届かなかったという事案が多く発生しております。また避難勧告などの対象地域の選定の難しさも指摘され、更には水防活動中に安全と考えられていた対岸の堤防が決壊したケースなども発生しており、大雨の状況での避難勧告の判断の困難さが改めて浮き彫りとなりました。本市は、地震災害については発災直後の情報空白期に市内14箇所の地震計により測定した震度によって市内の地震被害を予測し活動体制を構築する震災対策支援システムを運用しているところですが、水災害においても、最新の科学的成果を生かし河川の水位や降雨量のデータから洪水の状況をシミュレーションして的確な避難勧告が発令できるようなシステムの構築をすべきと考えますがいかがでございましょうか。市長の御見解をお聞かせください。 2点目は災害弱者に対する取組についてであります。高齢者、独居老人、障害者などの言葉を毎日のように耳にする昨今であります。新潟、福島、福井での集中豪雨でも逃げ遅れたために死亡された高齢者の方が多くおられました。また今回の新潟県中越地震でも、障害者や高齢者などの災害弱者への対策に不安を覚えたという声も多く上がっております。災害の度に障害者や高齢者の方々への対策が叫ばれていますが、具体的に、いかに早く避難勧告や避難指示の情報を届けられるか、また早くどこに避難することができるかということが最も重要な課題であります。10年前の阪神・淡路大震災の際、淡路島北淡町では、地域住民らがどの家に高齢者がいて、どの部屋に寝ているのかということまで知っていたため、目覚しい救援活動が展開できたという例があります。また障害者や高齢者を持つ世帯では、行政からの十分なデータ提供がなく時間を要した、非常時におけるプライバシー保護と情報開示について早急な検討が必要との提案もありました。当事者はもちろん家族、地域、自主防災部、社会福祉協議会などそれぞれが力を合わせていかなければならない問題であります。ITなどの情報機器の発達があっても、安心安全を確保するための基本は人であります。本市における避難困難者に対して地域における防災安心ネットワークの確立と障害者や高齢者などの災害弱者に対する取組と対策についてお聞かせください。 次に特別職の退職手当の問題についてお伺い致します。我が党は、昨年秋の衆議院選挙において100項目にわたるマニフェストを発表致しましたが、その中で行財政改革の一環として地方自治体の首長などの退職手当制度を見直し、廃止又は縮減することを掲げました。民間においては大変厳しい経済情勢の中、退職手当はもとより給料の大幅な削減やリストラが国民生活を直撃し大きな問題となっております。地方自治体の首長の仕事の質や内容の面においても、必ずしも単純な比較や区別ができるものではないと考えますが、市民、納税者の立場に立つなら見直しなどについて一定の見解を持つことは求められるところであります。 市長の退職手当については、市会において審議されたうえ条例改正の下、減額などの措置を採る手続が必要なことなど承知の上で以下質問致します。特別職の退職手当の計算は、給料月額に在職月数と支給率をそれぞれ乗じて算出されますが、現在の条例を基に京都市長の退職手当1期4年分を計算しますと、給料が月額139万円で、それに48箇月と支給率である61パーセントを掛けますと4,070万円となります。確かに市長の仕事に見合う対価だと言われればそれまでですが、やはり今日の地方自治体の置かれた状況、またいわゆる庶民感覚からすれば理解することが難しいことではないかと私は思います。他の自治体では首長選挙の公約に入れるなど敏感な対応が目立つようになりました。平成15年9月の総務事務次官通知では、特別職の職員の退職手当についても、議会の審議などを通じ住民の十分な理解と支持が得られるものとすべきであるとされております。そこでお尋ねしますが、まずこの退職手当はどのような性格のものであるとお考えなのか。そして今後市民の声を聴くなり識者の意見を聴く場所を設け見直しの視点に立った議論を進められるお考えがあるのかお伺い致します。 公明党では、庶民感覚から遊離した政治家の特権廃止や公務員の各種手当制度の見直しについて指摘して参りました。国家公務員の退職手当については、退職時に基本給を1号給昇給させる退職時特別昇給制度、いわゆる退職金のかさ上げが行われてきました。この制度は、本来勤続20年以上で勤務状況が特に良好とされる公務員を対象に行うものですが、実際には特に良好どころかほとんどの退職者がこの恩恵を受けているとの批判が強くありました。そこで我が党の議員が国会でこの問題を採り上げて人事院規則が改正され、本年5月から国家公務員については退職時特別昇給制度が全面的に廃止されました。そのことを受けて既に廃止、更には廃止に向けた検討がなされる自治体が増えてきております。本市でもこの退職時特別昇給制度は一定の歴史的経過もあると伺っておりますが、現状ではすべての退職者がこの恩恵を受けているとのことであります。本市の大変厳しい財政状況の中で、また行政の無駄遣いを一掃する観点から、この制度の廃止に向けての取組と更にはこの制度を廃止した場合の削減効果額と廃止時期についてお示し願います。 次に永住外国人の方の地方参政権についてお伺い致します。現在日本には170万を超える外国人の方が居住しておられます。国際化の流れの中でその数は増え続ける一方であり、日本社会で在日外国人に対する様々な差別や不平等が指摘されておりますが、在日外国人を巡る問題と人権国家へ向けての我が国が目指すべき共生の社会の姿について改めて考え取り組むべき時が来ていると思います。日本には住民票の問題をはじめとして外国人の方々に不当なあるいは不合理な差別を強いている制度、慣習が数多くありますが、そうした問題の存在に気が付かず、おかしいと言われて初めて気が付くというのが現状ではないでしょうか。更に戦後60年近く経過した今日においても、なお在日外国人に対する様々な問題が横たわっている背景には、日本人の置かれた歴史や環境の特異性があると思います。特に日本人は、民族意識が大変強く政策的にも同化政策を採ってきたことが大きいと考えます。日本は1995年に人種差別撤廃条約を批准し、その後国連が日本政府の遵守状況をチエックする審査がジュネーブで開かれました。その会議では、アイヌや在日韓国朝鮮人の問題を巡って日本社会の多様性をどう捕らえているのかという点が指摘され、社会に対して正しく啓発する努力が欠落していることが採り上げられました。更に日本では、国内法で人種差別が犯罪として規定されておらず、条約批准後も法律の改正を行っていないことも問題となりました。差別を許す社会は病める社会であり、その精神の根は臆病と言われております。今私たち日本人の意識改革が最も大切であり、真剣に考えなくてはならない大きな課題であります。 今国会で継続審議となっております永住外国人への地方選挙権付与法案でありますが、そもそも国籍を媒介とする国政参政権と住民たる地位に基づく地方参政権とはその性質を異にしているのであります。だからこそ1995年には、この問題に関して最高裁も永住外国人に地方レベルの選挙権を付与することに憲法上の問題はなしと判断を下したのであります。更に国民の約75パーセントに当たる1,520の自治体で地方参政権の付与を求める意見書が採択されています。本市においても1993年12月に採択しております。また2002年3月には全国で初めて永住外国人に投票権を認めた住民投票が滋賀県米原町で行われました。その後これまでに50余りの地方自治体で同様の住民投票条例が施行されてきました。住民投票とはいえ、永住外国人に地方政治参画への道を開いた意義は大変大きなものがあります。また本年4月に合併された京丹後市においては永住外国人への地方参政権の付与について、構造改革特区、市民との共生によるまちづくり特区を国へ提案されました。地方のことは地域に住む住民が自主的に決定することが最も好ましく、地域に住む外国人住民の意思も地域の公共的な決定に反映されてしかるべきであります。本市においては、平成10年に外国籍市民施策懇話会を設置し、そして平成12年、第4回会議においては市政参画と地方参政権問題について集中的に議論され、また平成15年、第4回会議においては共存・共生へ向けての展望と課題について議論されてきております。本市として永住外国人の地方参政権について、国の動向を見るという立場ではなく地方のことは地方で決定するという一歩踏み込んでこの問題をお考えいただき、市政参画への道をより広く拡大すべきと考ますがいかがでしょうか。また国籍条項の撤廃の検討による外国籍市民の登用についても市長としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に大学と地域の連携による地域再生、地域活性化についてお伺い致します。地域を取り巻く経済環境は今大きく変わりつつあります。産業構造の変化、工場の海外移転などによる企業の衰退、大規模小売店舗の郊外立地に伴う商店街の疲弊など今般の景気回復の兆しにもかかわらず、特に中小企業、地方、雇用への波及が立ち後れています。もはや地域において、ほかからの波及を待つだけでなく自らが成長のエンジンを持つことが今問われております。また地域を取り巻く社会環境も大きく変わろうとしています。少子高齢化の進行による人口減少、フリーター、ニートの増加による社会の活力の低下、また一方、人口の中心部への回帰現象も起きています。地域を構成する様々な方々が生き生きと暮らせる地域を目指す地域再生が今大きなテーマとなっております。今求められている地域再生は、箱物中心や一律の開発方式による発展ではありません。必要なのは多様性と創造性を生かした特色ある地域づくりであり、土地固有の実情をよく知っているその地域に住む人間の柔軟な知恵を活用した地域課題の克服であります。本市におかれては最先端の文化や情報が集まる都市として、大学、短大が集積し大学のまち京都、学生のまち京都としての優れた都市特性を有しております。平成5年に策定された大学のまち・京都21プランは、この個性を生かした大学と地域の総合的な発展を目指したものであり、また本年4月に大学のまち・わくわく京都推進計画も策定されました。大学の知の資源を地域の振興に生かしていくことは大きな意義があり、地域再生のための一つの成長のエンジンであります。平成16年度の新規事業である大学地域連携モデル創造支援事業においては、山科区の京都橘女子大学と伏見区の龍谷大学の2大学がこの11月に認定されました。この事業の予算規模は100万円と少額でありましたが、今後大学と地域の連携を引き出していく起爆剤として大きな役割を果たす可能性があると私は非常に注目しております。来年度以降、このモデル創造事業を全区に拡大してはいかがでしょうか。地域再生の起爆剤となると確信致します。また区役所に仮称でございますが地域活性化総合支援協議会を設置して大学だけでなく民間企業、NPO、自治会、ボランティアなどとも連携し地域の知恵を結集することが地域発展のかぎであります。そこで区政改革の取組として、個性を生かした魅力ある地域づくりの拠点としての区役所機能の強化を地域再生、地域活性化の視点から支援協議会を設置すべきと考えますがいかがでしょうか御所見をお聞かせいただきたいと思います。 次に介護予防について3点お伺い致します。我が国における高齢化率は団塊の世代と呼ばれる方々が65歳以上となる今後10数年間で急速に上昇致します。こうした中で私ども公明党は、日本が目指すべき社会の姿を生き生きと暮らせる幸齢社会、ここで言う高齢者の文字を幸福な高齢者との観点から政策提言を行ってきております。これでございます。生き生きと暮らせる幸齢社会。 さて一般的に痴呆とは、年を重ねることに伴い脳の働きが衰え、それが重度となった状態をいうわけですが、その発症原因については大きく脳血管型の痴呆とアルツハイマー型の二つのタイプがあります。脳血管型の痴呆に関しては、高血圧や糖尿病などの成人病を中心に予防していくわけですが、アルツハイマー型についてはいまだその予防法は明らかになっていないのが実態であります。またいずれの場合でもいったん痴呆状態になってしまってからの脳機能の回復は非常に困難であると言われております。一方、痴呆の予防については、学習療法という注目すべき取組がありますので、これを御紹介させていただき、その推進に向けた取組についてお伺い致します。学習療法とは、音読と計算を中心とする教材を用いた学習で、学習者とスタッフがコミュニケーションを取りながら行う療法のことです。学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身体自立機能などを司る大脳にある前頭前野機能の維持改善を図り痴呆の予防を図ろうとする取組であります。この方法につきましては、学習療法研究会の会長であり東北大学の医学博士である川島隆太さんの仮説の下、平成13年に福岡県の老人福祉施設でモデル研究され、その効果が明らかになっています。まず特別養護老人ホームなどでこの取組を始め、その効果を確かめながら広がりを持たせていくことができればすばらしいことではないでしょうか。この学習療法に対する御認識も含めお考えをお聞かせください。 次に園芸福祉の取組についてお尋ね致します。この取組は、一言で言えば花や野菜を育ててみんなで幸せになろうという取組であります。本市においてのこの取組につきましては、山科区に拠点を置くNPO法人京の園芸福祉研究会が9月から京都府内で初めて園芸福祉を指導する初級園芸福祉士の養成を始められるなど徐々に広がりが出てきております。私も大阪の特別養護老人ホームで介護職員をしておりましたときに園芸福祉に取り組んだ経験があります。青空の下で、また様々な場所で土に触れ種が発芽し、生長し、そして花が咲き、実が結実するというプロセスは正に人々の生き方にも重なるように感じました。園芸を通したこの取組は、介護予防などの取組にも役立つものと考えておりますが、それにも増して第1には子供たちから高齢者まであらゆる世代の方々が参加でき、互いの交流や触れ合いを通じて楽しい時間を過ごし、心豊かな地域づくりやまちづくりを進めていくことができること。第2には緑化を通じ環境保全や環境を守っていく大切さを理解する機会としても位置付けることができること。第3には様々な方々の情操教育や生涯学習の一つとしても位置付けることができることなどの利点があります。このような多様な意義があることから、本市においては園芸を活かした健やかな市民生活検討会が設置され園芸の更なる振興と福祉への活用策を検討されていると伺っております。現在までどのようなことが検討されているのか、そしてその中で園芸福祉の取組をどのように位置付けられようとしているのかお考えをお聞かせください。また福祉施設などで園芸療法を採り入れた実践教室の取組の導入についても御所見をお聞かせください。 私ども公明党は、元気な高齢者が多い社会、生き生き幸齢社会の実現へ向けて本年4月に介護予防10カ年戦略を発表致しました。これでございます。我が国の平均寿命は男性が78歳、女性は85歳で共に世界第1位でありますが、健康寿命、健康で自立して暮らせる年齢は男性が72歳、女性は78歳であります。我が国が目指すべき方向は単なる長寿ではなく元気で長生き。元気で長生き、この健康寿命を延ばして元気な高齢者が多い社会を作っていこうということであります。具体的には介護予防サービス拠点を各中学校区に1箇所整備し、歩いて行ける場所で軽度の認定者や介護予防を必要とする高齢者の方々がサービスを受けられるようにしようとするものであります。本市においても保健所での転倒予防教室、小学校の空き教室を利用してのすこやか健康教室などの取組を実施されておりますが、介護予防サービス拠点としての更なる取組の拡大と老人福祉センターや地域体育館などの施設活用も検討して、高齢者の方々に身近で取り組みやすい環境を提供すべきと考えますがいかがでございましょうか。また国の検討課題である介護予防拠点づくりを本市としてどうお考えなのか御見解をお聞かせください。 〔久保副議長退席、田中議長着席〕 ◆(久保勝信議員) (続)最後に市民生活センターの機能強化についてお伺い致します。日々の生活に直接関係する消費活動に関するトラブルは全国的に増加の一途をたどっております。本市も例外でなく、強引な、更には脅迫まがいの販売による相談が増加しており、お年寄りや若年者など契約において弱い立場にある人々の被害が特に目立っており、また相談件数も増加の一途をたどっております。消費トラブルに遭った人で実際に地方自治体の消費生活センターに相談する割合は全体の3パーセントと言われておりますので、本市のデータに当てはめてみますと平成15年度の場合、何と40万人の人が何らかの被害を受けたことになり、京都市民の実に3.7人に1人という信じられない数字となります。特に携帯電話のメール利用を口実に高額な使用料や延滞金が請求されるメール被害が激増しています。最近は全く身に覚えのないいわゆる架空請求に関する被害が社会問題化しています。一方、従前から問題となっているものとして、公的機関の名をかたったり点検と称して巧みに家に上り込み、相手の不安をあおって不必要な工事を強要したり高額な浄水器を半ば無理やり取り付けるなどといった悪質な訪問販売による被害が後を絶たない状況であります。また最近では独り住まいのお年寄りや知的障害者、そして社会経験の少ない学生などといった弱い立場にある人を狙った事例が増加しており、被害者個人で解決することが極めて困難なケースが多くなっております。このような犯罪行為に近い悪質商法によって被害を受けた市民を救済するとともに、悪質業者から市民を守っていくことすなわち被害の拡大防止や未然防止といった取組を進めていくことが極めて重要であります。本市における苦情処理体制は、消費生活専門相談員による助言とあっせん、そして消費者保護審議会によるあっせん又は調停という段階を踏んでいますが、今後は苦情相談体制の更なる強化と審議会の調停対象案件についても契約全般に広げて、より迅速、適切な解決に努めるべきと考えます。御見解をお聞かせください。また未然防止の取組として、全戸配布の市民しんぶんなどで特集記事の掲載による未然防止の啓蒙推進を積極的に図るべきと考えますがいかがでしょうか。京都市民の安心安全を守っていくための取組をよろしくお願い申し上げます。 以上をもちまして私の代表質問とさせていただきます。議員になりまして2回目の代表質問でございましたが、常に原点、初心を忘れることなく庶民の目線で一人のひとに一直線をモットーに懸命の2文字で働いて参りますことをお誓い申し上げ質問を終わります。御清聴大変にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 久保勝信議員の御質問にお答え致します。 初めに水災害のシミュレーションシステムの御質問にお答え致します。本市では、防災情報システムの中で独自に設置した37箇所の雨量計によりリアルタイムで降雨状況を把握するとともに、国の河川情報システムや現場監視により河川水位の状況を把握し洪水等への的確な対応を図って参ったところでございます。しかしながら、議員御指摘のように各地での台風や豪雨による災害に共通する問題として避難勧告等の判断の難しさを痛感したところでございます。適切な避難勧告、指示を行うためには的確なタイミング、的確な対象地域の選定、避難途中の安全の確保など多くの困難な判断が必要であります。御提案の最新の防災科学の成果を生かし、実際の降雨と河川水位等の状況からいつ、どの地域で、どれほどの深さの浸水被害が生じるかが予測され、的確な避難勧告等の判断が可能となる総合的な水災対策支援システムの構築は、本市の水災対策の大きな課題の一つであり、その実現に向けまして取り組んで参ります。 次に災害弱者に対する取組と対策についてでございますが、高齢者や障害のある方などいわゆる災害弱者を守るためには、人と人とのつながり、すなわち堅固な地域コミュニティが大切であると考えております。本市では、他の都市に先駆け市民の皆さんによる防災行動計画づくりを順次進め、いざというときには御近所の皆さんが協力して避難や救出を行うという取組を実践していただいているところでございます。またこれらに加えて自主防災組織、高齢者や障害のある方に関係する福祉団体、病院や社会福祉施設等が相互に協力し、災害時において医療、薬、介護用品や施設の提供など地域ぐるみで災害弱者を支援できる地域防災ネットワークの構築を進めているところであり、今後更に自助、共助、公助の基本理念を基に災害弱者の安全確保に全力で取り組んで参ります。 次に外国人の地方参政権についてでございます。私は、多文化共生社会の実現に向けて外国籍市民の市政参加の機会をできるだけ拡充するため、平成10年に京都市外国籍市民施策懇談会を設置し今日まで医療通訳の実施など様々な提言を市政に反映して参っております。永住外国人の地方参政権については、御指摘のとおり私も極めて重要な課題であると認識しておりますが、参政権は自由権、平等権等と並び我が国の民主主義の根幹を成す権利であることから、それぞれの自治体において意見交換を深めつつも国政において十分議論が尽くされるべきであると考えております。現在、国会において永住外国人参政権付与法案が審議されていると承知しており、この推移を見守りたいと存じております。また外国籍市民の登用につきましては、平成13年に一般職の採用において国籍要件を緩和したところでございますが、今後とも各種委員等の任用に当たっての要件についても研究を深め外国籍市民の市政参加を一層推進して参りたいと考えております。 次に身近な地域で気軽に介護予防に取り組める介護予防サービス拠点についてでございます。我が国は世界に例を見ないスピードで長寿化が進展しております。久保勝信議員御指摘のとおり、健康寿命を延ばし豊かな経験と知恵を持つ元気な高齢者が生き生きと活動できる社会を築いていくことが目指すべき姿であります。京都市におきましては、このような社会を目指し全国に誇り得る高齢者福祉の総合拠点である長寿すこやかセンターやすべての市民の皆様の健康づくりを進めていく健康増進センターを設置するほか、高齢者筋力トレーニングの開発や普及を図っていくためのボランティアの養成、健康すこやか学級の拡充など先駆的な取組を進めているところでございます。既存の老人デイサービスセンターや老人福祉センターを改修し介護予防拠点とする取組は介護予防システムを構築していく一環として国において検討が続けられております。本市と致しましては、事業内容等が明らかになり次第これまでの多様な取組の実績の上に立ち実効性のある介護予防が図れるよう、その拠点となるよう取組を進めていく考えでございます。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中セツ子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 園芸福祉についてお答え致します。御質問のありました植物の生長と向き合う園芸活動には、土に触れ愛情を持って植物を慈しむことにより心がいやされ、あるいは身体機能の回復が図れるといった効果が期待されます。そこで京都市におきましては、園芸福祉に具体的に取り組むことが必要であると考えまして本年9月に新たに園芸を活かした健やかな市民生活検討会を設置致しました。現在、市民園芸や園芸福祉等の課題について検討しておりまして、今後市民活動団体等との連携により園芸福祉の取組が京都の地で根付くように努めて参りたいと考えております。また福祉施設での園芸療法につきましては、市内の多くの施設で取り組まれておりますので、今後とも効果的な実践が行われるよう奨励して参ります。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕 ◎副市長(松井珍男子) 私からは3点についてお答え致します。まず特別職の退職手当に関するお尋ねについてでございます。公務員の退職手当の性格は、一般的には職務の内容、責任の度合い等を含めた公務への貢献に対する功労報償等であるとされておりますが、当然のことながらその支給額は市民の皆様の理解と納得が得られるものでなければならないと考えております。本市特別職の退職手当につきましては、桝本市長の指示により本年4月から一般職の退職手当支給率の引下げ等を考慮して政令指定都市では唯一約5.7パーセントから10パーセントの引下げを行ったところであり、市長への支給額は政令指定都市の中で平均を下回る低位な水準にあります。今後とも御指摘の趣旨も踏まえ様々な意見に耳を傾けながら時宜に応じた見直しを行い常に適切な水準となるよう努めて参りたいと考えております。 次に退職時特別昇給制度についてでございます。本市職員を含む地方公務員の給与等につきましては、原則として国家公務員に準ずることとされており、本市におきましては、従前の国家公務員の例に準じ勤続20年以上で退職する職員について1号給の特別昇給を実施して参りました。しかしながら、一つには国家公務員については本年5月をもって廃止されたこと、二つには総務省から地方公務員についても早急に廃止するよう指導を受けていること等を考慮し、今年度末退職者から廃止する方針でございます。この場合の財政効果額につきましては、市長部局における今年度定年退職者で試算致しますと約3,900万円と見込まれます。 最後に学習療法についてでございます。これは読み、書き、計算を通じて高齢者の痴呆の予防や改善が図れるのではないかという取組であります。これまでの研究を通じて全く無表情であった方に笑顔が戻った、自分でトイレに行けるようになったなどの効果が報告されており注目を集めております。このため市内の老人ホームにおきましても、8施設で取組が行われているところであります。この取組を開始して間もないことから、実践の確かな効果は今後をまつ必要がございますが、それが確かめられるにつれ他の施設へも広がっていくものと考えており、本市と致しましても各施設の取組状況の把握に努めて参ります。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 上原総合企画局長。 〔上原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(上原任) 大学地域連携モデル創造支援事業についてお答え致します。この事業は、まちづくりや地域の活性化を目指して大学と地域が一体となった取組を推進していくために全市的なモデルとなる事業を選定し支援するものでございます。久保勝信議員御指摘のとおり大学の知の資源を地域の振興に生かしていくことは、地域だけではなく大学にとっても実践的な教育研究の場が確保でき双方にメリットをもたらす効果があると考えております。平成17年度以降は、この事業の一層の拡大を図るとともに取組の成果を広く周知することで大学と地域の連携事業を京都の様々な地域に広げ、地域コミュニティの活性化や個性を生かした魅力あるまちづくりにつなげて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 柴田文化市民局長。 〔柴田文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(柴田重徳) 地域活性化総合支援協議会についてお答え致します。各区役所では個性あふれる区づくりの推進に向け地域活動の主体である幅広い各種団体の参加の下、各区基本計画推進組織を設置し地域の課題解決やコミュニティの活性化を目指す区民の自主的なまちづくり活動を支援しております。御提案の趣旨も踏まえ今後このような推進組織を核とし、大学との関係の強化を図るとともにNPOや企業などとも連携を深めて参ります。そして豊かな活力ある地域社会の実現に向けて区役所を拠点に地域の知恵と力を結集し、より良いまちづくりの推進体制を構築して参ります。 次に消費生活相談に係る苦情処理体制の強化についてでありますが、情報化社会の進展など消費者を取り巻く環境の大きな変化に伴い消費者被害も年々増加するとともに複雑多様化しております。このため現在本市では、消費者保護条例の抜本的見直しについて消費者保護審議会で御審議いただいております。久保勝信議員御提案の審議会による調停対象案件の拡大については、中間答申でも提言をいただいており条例改正の中で対応して参ります。また被害の防止の面から消費者に悪質商法の手口や対処方法等について情報提供することは極めて重要であり、架空請求の業者名をホームページに公表するなど様々な取組を進めて参りました。今後も市民しんぶんをはじめ生活情報誌マイシティライフ、ホームページ、出前講座などを通じてより多くの市民に情報が届くように努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 次に、市政一般について、小林あきろう議員に発言を許します。小林議員。 〔小林あきろう議員登壇(拍手)〕 ◆(小林あきろう議員) 私は、桝本市政と友情ある緊張関係を持って接しております民主・都みらい京都市会議員団を代表して市長並びに関係理事者に質問致します。上京区選出の小林あきろうでございます。質問に先立ちまして、この間の度重なる台風、地震により多大の犠牲者と被害を出されました関係者の皆様方に心からのお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を実現されますようお祈り致します。 さて今回、私は次のような視点に立って質問したいと思います。すなわち我々の住むこの京都は我が国のみならず世界に誇り得る歴史的文化資源を有する文化首都であり、この文化の力を国家戦略として世界に発信することが今日極めて重要であるということであります。京都が持っている文化的普遍性ということを今一度思い浮かべながらお聞きいただければ幸いでございます。 まず国家戦略としての京都創生についてであります。昨年6月、梅原猛座長をはじめとする7人の懇談会メンバーにより国家戦略としての京都創生に関する提言がまとめられ、関係する省庁に対して要望が行われました。また昨年10月には京都創生百人委員会が発足され、学者、文化人、財界人、宗教家など現在263名に上る幅広い京都ファンの著名人の方々に御賛同いただくこととなり、東京において京都創生シンポジウムも開催されたところであります。振り返れば今年2月の市長選挙の際、桝本市長の選挙公約マニフェストの中心的戦略課題として国家戦略としての京都創生が位置付けられ、その後も市民しんぶんや一般の商業紙等で大きく宣伝されるところとなりました。この10月14日には800人の参加者により京都創生フォーラムが祇園歌舞練場で開催されました。また京都市と国の関係省庁との共同で研究会が発足され、既に第1回会合が持たれたとお聞きしています。 ここで私は、国家戦略としての京都創生とはどのようなことなのかということを理解するために、あえて今年9月にまとめられた歴史都市・京都創生策(案)のはじめにという文章を御紹介させていただきます。1200年を超える悠久の歴史と文化が息づく山紫水明の京都は、日本の財産であり、世界の宝である。この京都を守り伝えていくことは、歴代の京都市民に課せられてきた使命であるが、同時に、この混迷の時代にあって、日本国民が日本人としてのアイデンティティーを自覚し、21世紀の国際社会の中で自らの誇りを持って生きていく上で、自立した日本文化、日本人の精神の原点たる京都を守り伝えることは、国家的にも重要な意味を持っている。即ち、国際社会から真の理解を得る上でも、日本独自の魅力を最大限に体現している京都を、美しい国づくりのシンボルとして、また観光立国政策の牽引役として活用することこそが、不可欠である。また、世界の人々が相互の文化を理解することが世界平和の前提条件であるため、日本が平和を享受するためにも、京都をして日本の文化を国際社会にご理解いただくことが必要である。そこで、日本人の美感、精神を培ってきた母胎である京都の景観、文化を、国の力を挙げて再び甦らせ、真の姿を顕現することを通じ、日本のため、また、世界のために京都を活用すべきである。以上であります。 そこで私からの質問ですが、国家戦略としての京都創生ということについて、私たちはまずどのように捕らえるべきかということであります。仮に色々な人たちの色々な働き掛けによって、京都創生について国が理解し認めたとしましても厳しい国家財政の中から京都創生に対する予算が十分に与えられるとは考えられません。私は、まず国家や国民全体が京都は掛け替えのない特別な都市、文化首都であるということを切に理解していただくということ、このことが大切なのではないだろうかと思います。したがって国における財政的措置を求めながらも、現実的にはその実現はなかなか困難であるということを踏まえた上で、一方で京都創生基金の設立によって広く京都を愛する個人や企業、団体の皆様方に御理解と御協力を大胆に求めていくことが重要なのではないかと思います。この点市長はいかがお考えでしょうか。 次に私は京都創生百人委員会について意見を述べさせていただきたいと思います。現在御賛同いただいている263名の皆様方は、基本的には7人の懇談会の先生方が自分の声でお誘いし御賛同いただいた方がほとんどだとお聞きしています。したがってこの懇談会は行政が直接責任を持った組織ではなく、自主的な性格を持ったものであるということも理解致します。これはこれで非常にありがたいと思っていますが、263名の賛同者の皆様方のほかにも大の京都ファンが数多くいらっしゃることと思います。それらの方々の中には、あるいはなぜ自分には声が掛からないのかと思っていらっしゃる人たちもおられることだと思います。この京都創生の事業は、いわば国家的運動であり、かつ国民的運動として盛り上げていかねばならないと思います。財政面からいっても更にダイナミックな運動展開が望まれることを考えますと、私は今の百人委員会の規模にとどめることなく何千人、何万人と賛同者を拡大すべきだと考えます。本市として百人委員会の更なる充実を要望してはいかがでしょうか。この意見は百人委員会の内部の方々からも出ています。市長のお考えをお聞き致します。自民党の皆さん方にも十分御協力いただきたいと思います。 次に現在庁内で組織されている京都創生プロジェクトについてでありますが、私は、京都創生実現のためには集中した活動と最高の政治的手腕と能力、組織力、人材が必要だと思っています。現在のプロジェクトチームについて、その経過と成果を否定するものではありませんが、今後の取組を考えますと一抹の不安を感じざるを得ません。プロジェクトチームに参加している部長の皆さんは、それぞれ本来の仕事を抱えられての参加であります。私は市長直轄の国家戦略京都創生推進室のような専門組織を発足させ、場合によっては有能な民間人の登用も考えてはどうかと思いますが市長いかがでしょうか。 次に環境問題についてお聞きします。御承知のようにロシアのプーチン大統領は11月5日、地球温暖化防止のための京都議定書の批准書に署名されました。このことにより議定書発効の条件が整い、いよいよ地球温暖化防止に向けた世界の取組が本格的に始動することになりました。私たちの住む京都の名が冠せられた議定書が批准されたことを心から喜び歓迎するところであります。このような中、農林水産省は本年度初めて創設したバイオマス利活用優良表彰の最高賞、農林水産大臣賞に京都市のバイオディーゼル燃料化事業を選びバイオマスフロンティアの称号を贈ったと聞き及んでいます。非常にありがたいことだと思っております。本市で7年前からスタートしたバイオディーゼル燃料化事業の取組は、地球温暖化防止京都会議COP3直前にごみ収集車両全車220台に使用済み天ぷら油のリサイクル燃料を軽油に代えて利用することがスタートされ、今は市バス80台にも拡大適用されるところとなりました。また今年10月15日にはバイオディーゼル燃料利活用推進フォーラムが京都で初めて開催され、多くの自治体や農林水産省、国土交通省など関係省庁の参加も得、熱心に報告、討論が行われました。この11月6日にも京のごみ減らしをテーマに第2回京都ごみ祭りとして、京路地フェスタ2004が市役所前広場で開催され、多くの市民が工夫を凝らした様々な催しを通じてごみ減量について考える機会を与えられました。またバイオディーゼル燃料の愛称についても多くの方々の応募により、みやこ・めぐるオイルと決定されたとお聞きしています。 こうした経過を踏まえた上で3点について質問致します。まず1点目の質問です。使用済み天ぷら油の市民回収運動が始まって7年ぐらい経過しますが、現在840拠点ぐらいまで回収拠点が増加しているとお聞きしています。市民の皆様方は正にボランティアとして長年にわたって活動を続けてこられ、そのほとんどが途中でやめられることなく今なお継続されているということは正に京都町衆の心意気を示すものであり非常にすばらしいことだと思います。恐らくこうした市民の方々の御協力がなければ本市直営の燃料化施設の建設は実現されなかったことと思います。燃料化施設が建設された今こそ、当面の目標である2,000拠点達成を目指して更に拠点拡大を図るべきだと思います。今後どのような拡大計画、具体策を考えておられるのかお示しください。 次に第2の質問です。使用済み天ぷら油を活用したバイオディーゼル燃料化事業は、世界で日本だけが取り組んでいる事業であります。しかし世界的には、このグラフでお分かりのようにバイオディーゼル燃料生産量で日本は圧倒的に初歩の段階と言わねばなりません。日本はこれでドイツはここです。約400分の1です。ドイツ、欧州ではバイオ由来の燃料に対する鉱物油税の免税措置があるため、菜種油由来の100パーセントバイオディーゼル燃料が大きく普及しているようです。日本においては100パーセント廃食用油再生の燃料に対しては免税措置が採られているが、軽油を混合すると課税対象となってしまいます。以前から国の税制上の改革を要求しているところですが、現在はどのような状態になっているかをお尋ね致します。更にドイツの年間80万キロリットルと日本の0.2万キロリットルの比較を見ても分かるように、石油や石炭のような化石燃料から環境に優しい燃料への転換を考えるとき、日本ももっとバイオディーゼル燃料の生産量を上げる必要があるのではないかと思います。土地と太陽があれば永久に光合成により作り出せるエネルギーであります。京都市内は土地の問題で難しいかもしれませんが、近郊農家の休耕田などを使い広大な菜の花畑の栽培を、更に全国での展開を、土地の少ない日本だけでは駄目というなら東南アジア、中国などでの世界的分業も視野に入れたバイオディーゼル燃料の生産量を上げていく取組を京都から国策として積極的に提案してはいかがでしょうか。今後の課題として指摘しておきます。 第3の質問は京都から他の自治体への働き掛けについてであります。先に述べたように、この10月にバイオディーゼルに関する全国フォーラムがこの京都で開催されたところでありますが、バイオマスフロンティアの称号にふさわしく、また環境先進都市京都として温暖化防止に貢献するこの事業を全国的規模で展開することが重要であると考えます。本市として今後どのように他の自治体等に働き掛けていくのか、その方向性についてお聞きしたいと思います。 私たち人類は21世紀に少し踏み出したばかりであります。20世紀が戦争の世紀と言われたことを総括し、21世紀は何とか平和の到来をと世界中の人たちが願っているにもかかわらず、戦争、抗争、テロの絶え間がありません。皆さん少し我慢してお聞きいただきたいと思います。 第1次世界大戦、日中戦争、第2次世界大戦、第1次ないし第4次中東戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、北アイルランド問題、カンボジア内乱、ポルポトによる100万人以上の処刑、イランイラク戦争、レバノン内戦、湾岸戦争、ユーゴスラビア内戦、イエメン内戦、チェチェン紛争、ザイール内戦、コンゴ内戦、アンゴラ内戦、コソボ紛争、9.11テロ、イラク戦争、本当にまだまだたくさんありますが、数え上げれば切りのないほどの戦争、内戦、テロ、紛争が繰り返され、何十万、何百万人、何千万人の単位で尊い命が奪われ、また人間の傲慢により自然が破壊されています。これらの戦争や紛争以外にもその国の政策の誤りから世界各地、各国で膨大な数の飢饉による餓死者が出ています。中国では1958年から61年にかけて世界史上最悪の飢饉が発生し3,000万人に及ぶ餓死者を出しました。そして今なおユニセフの資料によりますと、感染症、下痢、飢饉等により毎日3万人の子供たちが亡くなっていると言われています。そして更に世界中で何億個とも言われる地雷が人間の生活圏に埋められ、悲惨な事故が日常茶飯事のこととして起こっています。つくづく人間は本当に愚かな存在であるということを思わずにはいられません。 アメリカがイラク戦争開戦の重要な根拠に挙げた大量破壊兵器は、実は存在しなかったことが正式に政府発表されたことによりブッシュ政権が開戦前に主張していた差し迫った脅威論は完全に崩壊したと世界中の新聞が報道しています。9月半ばのこのようなイラク情勢の変化を背景に戦われたアメリカ大統領選挙は僅少差によるブッシュ再選という結果に終わりました。その直後に行われた共同通信社による全国世論調査では、イラクの自衛隊派遣延長に63.3パーセントが反対と答え、賛成の30.6パーセントを大きく上回りました。更に11月7日、イラク暫定政府は、クルド人自治区を除くイラク全土に非常事態を宣言しました。日本の自衛隊が派遣されているサマワにも迫撃砲弾やロケット弾が撃ち込まれる状況が続いています。以前から野中広務元自民党幹事長をはじめ自民党内部の方々からも自衛隊イラク派遣反対や慎重論が多く出ているとお聞きしています。 ジョセフ・ナイというアメリカ人がいます。現在ハーバード大学ケネディ行政大学院院長であり、かつて米国防総省次官補等を歴任されたアメリカを代表する戦略家として知られている人であります。彼には多くの論文や著書がありますが、アメリカへの警告という著書で次のようなことを指摘されています。世界における情報革命、グローバル化の下でアメリカの一極集中、単独主義に警鐘を鳴らし、経済力や軍事力というハードパワーだけではなくて文化力、教育力、民主主義の力など自国の持つ魅力によって他国に影響を与え、他国を引きつけ問題解決をしていく力としてソフトパワーが一層重要なものとして問われなければならないと指摘しています。私は、こうしたジョセフ・ナイ氏の指摘は、世界情勢を理解し日本の国家戦略を構想する上で非常に重要な示唆を与えていると思います。アメリカに長期滞在されている人から聞くところでは、アメリカの有力新聞を毎日見ていても日本に関して政治や経済は低い評価しか与えられていないが、事文化ということに関していえば最大級の評価をされているとのことでありました。中曽根元首相は、最近のテレビ番組で小泉首相について、彼には21世紀における国家像がない。外科医としてだけではなくて総合病院の院長の視点を持って21世紀における日本をどのような方向に持っていこうとするのかを明らかにし、歴史的な使命を果たすべきだと指摘されました。 さてジョセフ・ナイ氏のいう平和や文化というソフトパワーの視点で京都を見てみました。既に1978年には、本市は世界文化自由都市宣言で全世界の人々が人種、宗教、社会体制の相違を超えて平和のうちに京都に集い、文化交流を行う国際文化都市になることを誓っています。つい先日には韓国の慶州キョンジュ市において世界歴史都市連盟理事会が開かれ、高木副市長からの提案により世界平和宣言が全会一致で採択され、来年世界に向けて発信されるところとなりました。 10月に開催された国家戦略としての京都創生のフォーラムで非常に印象深いお話を聞きました。発言者の1人に黛まどかさんという俳人がおられました。彼女は遣らずの雨という言葉にまつわる話をされました。韓国からの訪問者を送って飛行場に向かうタクシーの中で突然雨が降ってきたので、遣らずの雨ですねと言ったところ、その意味を尋ねられたそうであります。日本では昔から来客を帰したくない、別れ難い人を帰したくないためであるかのように、丁度降ってくる雨のことを遣らずの雨というのだと話されたところ、長年にわたって持ってきた自分の中にある反日感情がその一語によって解かされたというお話でした。非常に心温まるお話でした。これこそが人間の心を動かし変えさせる文化の力ではないかと思いました。 二条城築城400周年記念事業の際、歌手の加藤登紀子さんとアフガンや東南アジアの子供たち、京都の子供たちとが一緒になって世界平和の願いを込めて愛 Love Peaceの歌をうたい世界に向けて発信されました。本市においても平和や国際交流という点で非常に良い活動が多く行われていると思います。民間でも様々な所で多くの有意義な交流が行われていることと思います。そこで質問ですが、こうした活動を受けて日本の文化首都京都として、世界文化自由都市宣言を発している京都として、また世界歴史都市連盟に対し世界平和宣言を作成、提案した都市京都として、その首長であり政治家桝本頼兼さんとして具体的に率直にその政治姿勢と選択が問われるところではないかと思うわけであります。イラクへの自衛隊派遣問題、日本が外交戦略として持つべきハードパワーよりもソフトパワーへの転換の問題、京都としてこれらの問題をどのように考え対応すべきなのか市長の御見解をお聞き致します。 質問の結びに当たり、先日ある会合でイタリアの憲法第9条の話題が出ました。日本の憲法第9条はよく御存じの戦争の永久放棄をうたい上げた平和憲法の中核を成すものであります。ところでイタリアの憲法第9条は次のように書かれています。共和国は、文化の発展と科学による技術研究を振興する。共和国は、国家の景観と歴史・芸術的財産とを保護するとなっています。日本国憲法には第1章第25条の生存権の所で、文化的最低限度の生活を営む権利を有するという所に文化という文字が使われているだけであります。先の国会で景観法が成立したとはいうものの、イタリアのように憲法において真正面から文化や景観や環境問題が位置付けられているということではありません。衆議院憲法調査会でも公聴会が開かれ様々に論議されているところですが、日本国憲法の改正があるとすれば、文化首都京都として桝本市長を先頭に文化や景観や環境問題こそ憲法に盛り込んでいくべきだという強い発信を行っていただくことを最後に市長にお願い致しまして私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 小林あきろう議員の御質問にお答え致します。 まず国家戦略としての京都創生に関する御質問についてでございます。1200年を超える悠久の歴史と文化が息づく山紫水明の都市京都は日本の財産であり、これまでも国立京都国際会館や京都迎賓館などをはじめとする国立施設の建設や古都保存のための具体的な政策など様々な形での国家的事業が実施されて参りました。それらの成果を踏まえ、更にこの京都を日本の国家財産、世界の宝として守り創生し、未来へ、世界へ発信するという視点に立てば我々京都人の自覚と努力を前提としつつも国を挙げてのより一層の取組が必要でございます。そのため昨年6月、国家戦略としての京都創生の提言をお受けして以来、直ちに数多くの提案を国に対し行うと同時に、国家戦略としての京都創生の必要性について広く関係者の皆様の御理解を得る努力を重ねて参っております。景観緑3法は、その具体的な成果の一つであると承知しております。 さて景観や文化を取り巻く現状は、京町家がここ7年間で13パーセント減るなど京都が京都でなくなってしまうという危機的な段階に至っており、抜本的、基本的な法律により小林あきろう議員の御指摘のとおり制度的、財政的な措置を講じることが不可欠であります。そこで国における政策の検討や市民の皆様をはじめ全国の京都を愛する人々に広く御議論いただく端緒となるように本年10月、京都市の基本的考え方や国を挙げて取り組むべき施策を掲げた歴史都市・京都創生(案)を取りまとめました。また市民の皆様の機運を盛り上げるため、去る10月14日京文化の拠点の一つである祇園甲部歌舞練場におきまして京都創生推進フォーラムを開催致しましたところ、多くの市会議員の先生方をはじめ会場を満員にする多くの市民や他都市の皆様方の御参加もいただきまして、私も改めまして気を強く致したところでございます。更に関係省庁の御理解と御協力を賜り共同研究会としての日本の京都研究会を発足させました。この研究会は、国と京都市双方が京都についての共通認識を深め京都をいかに活用すべきか研究し、今後の政策形成に役立てようとするもので10月29日に第1回の研究会を開催したところでございます。 小林あきろう先生から御提案の京都創生基金についてでございます。御提案の篤志家からの寄付につきまして、当面京都の優れた景観を保全し形成する事業基金や京都市文化観光資源保護基金などの現在ある基金を受皿として広く御理解と御協力を求めて参りますとともに、この運動を全国的に広げるためにも国民的理解を背景とした新たな基金についても研究して参りたいと考えております。 次に京都創生百人委員会へ何万人もの京都ファンに御加入いただいてはどうかという御提案についてでございます。京都創生の実現のためには国家的な盛り上がりが必要であり、オピニオンリーダーとして世論を先導する役割を持つ百人委員会への参加の輪を広げるとともに、その百人委員会と力を合わせ今後とも国民運動として、国家的運動として国民各界各層の賛同の輪を大きく大きく広げて参りたいと考えております。 次に民間人を含めた庁内の専任組織についてでございます。京都創生の推進体制と致しましては、歴史都市・京都創生策(案)の策定や各種の調査研究を行う京都創生プロジェクトチームを本年8月に設置するなど総合企画局を中心として全庁的な体制で取組を進めて参りました。京都創生の推進は、景観、文化、観光といった幅広い分野にわたることから横断的な組織を基本にしっかりと連携を図り、国内外からの幅広い御意見も十分に伺いながら万全の体制で取り組んで参ります。今後とも市会の先生方の力強い御支援と広範な市民の御理解、御協力の下、国家戦略としての京都創生の実現に不退転の決意で臨んで参る所存でございます。 次に平和問題についてでございます。21世紀は平和、人権、環境の世紀と言われており、人類はその理想に向かって不断の努力を続けていくべきであることは言うまでもございません。しかしながら現下の世界情勢は、人種や民族、文化、宗教等の違いを巡る紛争や世界規模での環境破壊が後を絶たず、我々の理想には程遠い状況にあります。私は、恒久平和を実現するためには目の前にある脅威を取り除き、これから身を守るだけではなく対立の底流にある価値観の相違を乗り越え、寛容と相互理解に努めることが必要であると考えております。国家間の外交政策は国の担うところでありますが、世界平和への貢献については自治体間の交流や市民レベルの文化的交流が極めて大きな役割を果たします。私は、世界文化自由都市を宣言した千年の歴史都市京都の市長として、先ごろ韓国キョンジュ市で開催されました世界歴史都市連盟理事会において世界に向けた平和メッセージの発信を提案し満場一致で採択を得たところでございます。今後ともこうした国境を超えた都市間交流や自由な文化交流を一層進め、人類にとって掛け替えのない平和、人権、環境を基調とした市政を市民の皆様と共に推進して参る決意でございます。 以下、松井副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中セツ子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕 ◎副市長(松井珍男子) 私からは廃食用油燃料化事業の全国展開についてお答え致します。京都議定書誕生の地であり、環境先進都市を目指す本市では、循環型社会の構築と地球温暖化防止に向けた具体的な取組の一つとして家庭から排出される使用済み天ぷら油のバイオディーゼル燃料化事業を全国に先駆けて推進して参りました。本年6月からは本市直営の他に例のない燃料化施設をオープンし、更にこの事業が市民に親しみやすいものとなるよう燃料の愛称を市民の皆様から募集し、みやこ・めぐるオイルと決定したところでございます。小林あきろう議員御指摘のとおり、本市と致しましてはこの燃料化事業を全国展開することが重要であると考え、先頭に立って推進組織の必要性を国や関係自治体に働き掛けて参りました。このような中、先月、10月には本市において第1回バイオディーゼル燃料利活用推進自治体フォーラムが環境省環境管理局長をはじめ農林水産省、経済産業省、国土交通省の皆様、また50を超える自治体関係者、更に本市市会議員をはじめとする多くの議員の先生の御参加の下、盛大に開催され全国展開の第一歩となる大きな成果が得られたところであります。今後ともこの自治体フォーラムを核として国の関係省庁とも連携を図りながらバイオディーゼル燃料の積極的な活用を全国的規模で働き掛け、農林水産大臣からいただきましたバイオマスフロンティアの称号の名にふさわしい取組を進めて参る所存でございます。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 高橋環境局長。 〔高橋環境局長登壇〕 ◎環境局長(高橋修) 使用済み天ぷら油の回収拠点の拡大についてでございます。平成9年度に13拠点でスタートした市民回収の運動は、上京区をモデル行政区に設定した平成11年度には531拠点となり、現在では市内全学区の約6割を超える141学区、842箇所に回収拠点が設置されるまでに拡大して参りました。これはごみの減量、リサイクル活動を実践するために各学区単位で組織された地域ごみ減量推進会議など関係団体の皆様の献身的な御協力のたまものであり、市民の皆様の環境問題への関心の高さと、小林あきろう議員御指摘のとおり本市ならではの町衆の心意気を示すものであり力強く感じているところでございます。今後の拠点拡大に向けた取組と致しましては、本年6月に稼働した燃料化施設のオープンを契機として、回収拠点が設置されていない学区の早急な解消はもとより区役所などとの連携を一層充実強化する中で、町内会、各種団体が一体となった取組を推進することにより京のごみ戦略21に掲げる平成22年度1,500拠点、平成27年度2,000拠点以上の数値目標の達成に向けて積極的に取り組んで参ります。 次にみやこ・めぐるオイルに係る税制上の免税措置についてでございます。みやこ・めぐるオイルを100パーセント使用しているごみ収集車の場合は課税対象とはなりませんが、市バスにつきましては軽油と混合したものを使用していることから、現状においては軽油取引税の課税対象となっております。これは主に我が国においてバイオディーゼル燃料の品質規格がまだ制定されていないことによるものでございます。一方、諸外国においては燃料規格が定められ、税制上の取扱いも基本的に免税となっております。本市と致しましては、地球環境に優しいバイオディーゼル燃料の京都スタンダードであるみやこ・めぐるオイルの全国的普及に向けて品質規格の制定と併せて税制面での配慮、優遇措置を従来から国に対して強く要望致しているところであり、関係自治体とも連携を図りながら更に関係省庁に対する要望活動に努めて参ります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 次に、市政一般について、隠塚功議員に発言を許します。隠塚議員。 〔隠塚功議員登壇(拍手)〕 ◆(隠塚功議員) 私は、左京区から選出いただいております民主党の隠塚功でございます。昨年9月に初めてこの本会議場で質問させていただき提案させていただきました電線の地中埋設化事業を政策重点化枠で実施するなど小さな一歩ではありますが、対応いただけていることに感謝しております。本日も民主・都みらい京都市会議員団を代表して、小林あきろう議員に引き続き桝本市長をはじめ理事者の皆様に質問させていただきますので御答弁賜りますことをよろしくお願い致します。 まず最初に地球温暖化防止への取組に関して質問させていただきます。京都市は、京都市計画段階環境影響評価、つまり戦略的環境アセスメント要綱を策定し10月1日より施行しました。そしてこの11月定例会では地球温暖化対策条例が議案として提案されております。このことはいずれも政令市としては先駆的な取組であり、環境局が全部局をリードする気概で京都市における環境負荷の減少に取り組もうとしていることがうかがわれ大変うれしく思っております。特に戦略的環境アセスメント要綱では、主体者を事業部局と環境局に分け責任の所在を市役所内で明確にする取組がなされたことは画期的なことであり大変評価ができると考えております。また地球温暖化対策条例案では、温暖化防止の取組の中で京都市、事業者、市民、観光客の責務を課しており、我々一人一人は被害者でもあり加害者でもあることを広く京都市にかかわる人たちに理解いただく仕組みがなされている点を評価しております。 ところでこの戦略的環境アセスメント要綱に地球温暖化対策条例案、今まで以上に実効性を持たせる工夫がなされていることは十分に感じ取れるのですが、やはりまだ課題があると思えます。それはこの要綱並びに条例が他の要綱や条例と同列であり、環境局以外にその取組への重要度が浸透していない点にあると考えます。それを変えるには、ひとえに市長の強いリーダーシップにより具体的な組織改革などで示す以外にはないと考えます。地球温暖化対策条例については、15年度予算に付された付帯決議の処理状況の中で、全庁横断的な体制づくりに取り組むとありますが、協議会や会議のような一時的な対応ではなく、市長直轄部局を設けて地球温暖化防止対策室などを設けるか、総合企画局の政策推進室の中にこれらを設けてすべての事業にこの視点を採り入れるよう常に上位的な位置付けから指導する必要があると考えています。 実はこの考え方で循環型社会形成に取り組もうとしたのが東京都であります。東京都では、政策報道室、現知事本局の中に都市活動などに伴う地球環境への影響を最小のものとし、これまでの社会経済システムやライフスタイルについて根本から見直しを図っていくことを目的とした政策調整部循環型社会づくり担当を設置し、当時の都政において循環型社会への取組の優先順位や全体像を都庁の職員や都民にアピールしたのです。またこの循環型社会づくり担当には、首都機能調査、政策調整、環境計画室、都市整備室などの部課長級がメンバーとなり政策実効性を高める組織として立ち上げていました。こうした組織が必要ではないかと私は考えております。今年、ロシアも京都議定書に調印し、京都議定書が発効されることが決まり、日本は地球温暖化ガスを1990年レベルから6パーセントの削減を2010年までに実施しなくてはならなくなりました。また京都市ではCOP3開催地として熱い市民の思いを代弁し桝本市長が10パーセント削減を公言した経緯もあり、6パーセントではなく10パーセントの削減を何としても実現しなくてはならない責務が生じています。それだけに日本だけでなく世界各地で京都市の取組に注目が集まっていると思うのです。現に先月行かせていただきました欧州行政視察の出来事ですが、姉妹都市のフィレンツェに訪問した際、開会中の市議会に招かれ議場で西脇団長が表敬のあいさつ、そして一行全員の紹介もいただく機会がありました。その後、議長のエロス・クルッコリーニ氏が京都市の地球温暖化対策への取組について教えてほしいと言われ、議会を中座して別室で意見交換をさせていただくことがありました。このとき改めて世界中で京都市の取組が注目されていることを実感させていただいたのです。このように世界で注目されている状況にあるにもかかわらず、温暖化ガスは全体では微減であり、運輸部門を中心に削減どころか増加している部門もあるくらいで、10パーセントどころか6パーセントの削減も不可能との声が専門家からも聞こえてくるのが現状です。それだけに時限的な措置としてでも地球温暖化ガス10パーセント削減を最優先の課題として取り組んでいただきたいと考えますがいかがでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。 また東京都では先ほど紹介した政策報道室政策調整部循環型社会づくり担当がTDM施策、つまり交通需要管理施策も担当していました。東京都では、都市交通の新たな展開の在り方を視野に置きながら、東京における交通改善の基本的な考え方やその仕組みを総合的、体系的に示したものとしてTDM東京行動プランを定義付けていますが、これを循環型社会づくり担当で扱っていたことはTDM施策を単に交通問題と捕らえるだけでなく、交通渋滞の緩和は交通量の削減であり、これにより地球温暖化ガスも運輸部門で減少していくとの発想があると考えられます。このことからも地球温暖化ガス10パーセント削減のために京都市でもTDM施策を実行できる体制づくりが必要だと考えています。今回の欧州行政視察では、ワルシャワ、ヘルシンキの2都市で路面電車や地下鉄にも乗車し、利便性についても視察して参りました。この2都市では、いずれも地下鉄を含め乗車、下車のチェックがなく、悪くいえば無賃乗車が幾らでもできる状態で運行されていました。もちろん全く検査がなければ無賃乗車が横行するわけですから、現実には検査官が巡回しており定期券等の提示を抜き打ちで求めるようになっています。もしその際に所持していなければ運賃の200倍以上の罰金が科せられることになっています。利用者も基本的にはそのためちゃんと運賃を払って乗車しております。ただ改札がないことから運賃の100パーセント完全回収はできませんし、2都市の公共交通の運賃が京都市より安価であるため収益状況は京都市と同様赤字となっているようです。しかしTDM施策として考えた際、このような制度を採用していることで中心部への通行車両の抑制が実現でき、この2都市では地球温暖化ガス削減という課題に対して有効に機能させることができていると考えられるのです。京都市でも、地球温暖化ガス10パーセント削減のためには運輸部門の削減は不可避であり、場合によっては交通局の赤字が増大してでも公共交通利用へのインセンティブが働くような施策を考えなくてはならないとも考えます。こうしたことは環境局や交通局が単独で考えられるものではなくて、京都市財政や環境状況など全体像を把握している部局が市長のリーダーシップの下で責任の所在を明確にし実行する以外には実現できません。TDM施策としては、嵐山や東山で行われた交通社会実験をより広域で考えなくてはならず、左京区の鞍馬街道の渋滞対策も同じ視点が必要です。鞍馬街道では11月15日までの土、日、祝日、大型車規制が京都府警によって実施されました。しかし大型車である観光バスの駐車場問題、更には主要な移動手段である叡山電鉄のキャパシティの問題などがあり、こうした問題を解決するには総合的な判断と協力が必要になっていました。今回は左京区長が音頭を取っていただき対症療法としては何とか対応できましたが、来年の大河ドラマで源義経が放映されることを考えますと本格的な対応が喫緊の課題であることは間違いありません。京都市の観光シーズンを想定すると、交通渋滞緩和のためにTDM施策が必要でありますし、また地球温暖化ガス10パーセント削減においても大変有効な施策であります。そのため検討する組織ではなく実行力を求められた組織として立ち上げ取り組んでいただきたいと考えております。ついては東京都の循環型社会づくり担当のような組織の必要性を含め市長のお考えをお聞かせください。 次に行政評価に関して質問させていただきます。京都市では昨年より事務事業評価を、そして本年より政策・施策評価を行い市政の進捗状況を市民に示すと同時に、厳しい財源の中で透明性を高めた効率的な執行を実行するよう努めています。このことは市民の皆さんにも市の状況や予算決定過程をお示しできる大変有効な手段と私は考えておりますので、本格採用になったことをうれしく思っております。ただ本格実施し始めたばかりということもあり、まだ満足できる状態には至っておりません。そのため更に有効な手法として確立いただきたいと考えている次第です。 まず最初に政策・施策評価についてですが、これらの評価は客観指標基礎データと市民生活実感調査の結果を踏まえ総合評価がなされることになっています。このことは偏重のない指標から評価がなされるということで大変良いのですが、評価者がこれらを客観的に判断できるかどうかが問題です。そのことは東京都の事務事業評価でもはっきりしています。というのも東京都では、担当部局と知事本部の2段階評価を実施しており、昨年度は担当部局の評価よりも知事部局の評価が厳しかった事例が38事業に対して何と8割の30事業にも達しているのです。やはり施策を担っている所管局の評価は自分たちの自負もあり、どうしても甘い評価となってしまうことのよい例ではないかと考えます。京都市の事務事業評価に関しては、京都市事務事業評価委員会の意見を踏まえ所管局が評議を行うことになっていますが、政策・施策評価については施策評価を各所管局で行ったうえで総合企画局が政策評価を行う仕組みとなっており、所管局以外の第三者が個別内容を客観的に評価する機会はありません。確かに現行制度では評価の公表後に政策評価制度評議会から意見が述べられることになっていますが、これは具体的政策、施策に関してではなく、制度そのものの充実や改善に向けた意見となっています。その結果、例えば施策評価では、目的が十分に達成されているから達成されていないまでの5段階に分かれております。その中間の3段階のCランクがそこそこ達成されていると評価しているわけですが、そのCランクが現行からの改善、進捗度で評価されているために目標時期に施策達成が困難と思われるものもあるのが現実です。このことは企業における事業評価の考え方と乖離した評価基準となっていると考えます。そこで提案ですが、京都市の政策・施策評価において更に客観性が担保できるよう、東京都のように2段階評価の実施や第三者の評価を採り入れてはどうかと考えますがいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 次に外郭団体や公共的団体などが実施する事業の透明性を確保していくための方策についてお聞きしますが、外郭団体や公共的団体等については京都市の一般会計予算の実に3.3パーセントに当たる213億円が補助金や委託金として給付されています。そのためこうした団体が実施する事業内容への評価も大変重要になってきています。外郭団体を例に採ると京都市外郭団体改革計画では、平成20年度までに補助金を15年度予算の15パーセント程度削減することにしていますが、ややもすると各所管局はシーリング方式によって安易な削減に踏み切るのではないかと懸念しております。このようなことを避けるためには、改革計画の中で平成17年度から経営計画を公表するとはしていますが、外郭団体自ら自主的な経営健全化に向けた取組を進め市民にその姿を示していく必要があると考えています。受け身ではなく自らの改革への意思を喚起し、これを公表していくこと、これこそが重要だと考えます。 また京都市では、規制緩和の流れの中で民間委託の推進を市政改革の柱に挙げており民間委託が一層進もうとしています。また制度的にも介護保険をはじめ保険事業が個人と事業者との契約制度に移行し始めています。にもかかわらず介護保険事業者の不正請求事例が絶えない現実もあり、事業者に対する不安を市民が拭い切れないのも事実であります。京都市としては委託事業者に監査や監視という方法で事業運営の指導を行い、場合によっては法的手段も含めた厳正な処分を行っておりますが、その前に外郭団体と同様に京都市の事業運営をゆだねられている、あるいは京都市の貴重な財源を得て自らの事業運営がなされていることをしっかりと認識し、事業状況や指導への改善状況を自ら公表していくことも必要ではないかと考えています。しかし財務状況などを自ら公表しているのは69団体しかないのが実情です。例えば、これも東京都ですが、東京都では社会福祉法人の財務諸表や監査結果、その是正状況などをホームページ上で公表し社会福祉法人の改革への喚起並びに都民への安心感醸成に取り組んでおられます。これは一例ではありますが、これからの市政運営を左右するのが情報公開だけに、このような取組をはじめ徹底した対応が望まれるところです。そこでお尋ねします。前段でも述べましたが、市の外郭団体において京都市の事務事業評価の仕組みを採り入れていくことはできないでしょうか。また外郭団体だけでなく市からの補助金を受けていたり、事業委託している団体にも広げていくために様々な監査や監視によって指摘した改善事項を含め京都市が持っている情報を広く公開することはできないでしょうか。情報公開に当たっては可能な範囲を研究していただき是非とも実施していただきたいと考えていますがいかがでしょうかお答えください。 次に小学校の少人数学級制について質問致します。現在京都市では35人学級を小学校1年生と2年生で実施しており、少人数学級への取組として保護者を中心に評価をいただいております。そうした中、今年2月の市長選挙におきまして桝本市長がマニフェストで19年度までに30人学級の導入を掲げられたことから、更に少人数学級を推進する市長の強いメッセージであると市民が理解をし、これからの小学校教育の在り方に強い希望と関心を持ったところではないかと考えております。ところが現在の小学2年生が来年3年生に進級する際には40人学級に戻ってしまうことから、市長のマニフェストにより期待を膨らませた分失望感を抱かれた保護者が多く見受けられる現状にあります。とはいえ、現在中学校のクラス定員は40人であること、来年度3年生でも35人学級を実施した場合に1億6,800万円必要であること、こういったことを併せて考えますと35人学級拡大をすぐに求めることは難しい環境にあると理解します。しかし急激なクラス環境変化を生じさせないことも子供たちには必要であり、そうした様々な問題を十分に配慮した上で教育環境を考えていただかなくてはなりません。京都市には市立の小学校から大学まで、すべての段階の教育機関があります。それだけに京都市の考える教育環境を一貫して取り組むことは可能です。小学校や中学校など個別に教育環境を考えるのではなく、小学校低学年から中学年、高学年、そして中学校、高等学校と一貫教育として教育環境を考えていただかなくてはならないと考えております。その考えに基づいて今の2年生の状況を御判断願いたいのです。現に35人学級から40人学級に変更となることで、全体111クラス中7クラスにおいてクラス人員が51パーセント以上の増員となり、63クラスで41パーセント以上の増員となることが見込まれております。中学校のクラス定員に変更が見込めない現時点では、小学校高学年はその準備段階として40人の定員は仕方がないとしても、中学年は低学年で一層進む少人数学級制度と高学年の40人学級制度の狭間であり調整学年としての役割が求められています。そのため急激な環境変化が生じる学校に対しては教員の加配など何らかの対応が必要であると考えています。マニフェストで語られた市長の少人数学級実現への思いと、そして小学校2年生の現場への対応も踏まえたこれからの取組に関する教育長の抱負をお聞かせください。 最後に個人情報保護に対して質問致します。昨今、個人情報の保護が国民の関心事となっており、ヤフーやジャパネットたかた、そしてこの度のりそな銀行のように個人情報の漏洩が企業活動にも多大な影響を及ぼす状況にあります。しかし自治体が個人情報管理上の規定としている住民基本台帳法では、個人情報が記載されている台帳の一部、つまり氏名、生年月日、性別、住所を何人でも原則として本人の同意なく閲覧することが認められています。閲覧はもちろんのこと転記に関しても転記用紙を購入すれば何人分でも転記することが可能であり、こうした制度を利用してDMの名簿が作成されている現実もあります。また自由閲覧により少年少女や女性などへの犯罪の材料としてこれらが利用される可能性も否定できないと指摘されています。これでは十分な個人情報の保護が自治体においてなされているとは言い難いのが現実です。そのため京都市を含め地方自治体から国に対して住民基本台帳法の改正を求めている状況にあるとは聞いております。しかし国が法改正にまで踏み込まないため、自治体が独自の条例などで規制に踏み出す動きが見受けられます。例えば熊本市では住民を特定しない閲覧は誰の情報が閲覧されるのか不明であり、しかも不当な目的に使用されるおそれがあることから原則として拒否するといった内容を盛り込んだ住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例を今年の8月1日から施行しています。また鳥取県の倉吉市では、大量閲覧は商業目的に利用されるおそれがあることから申請1回に付き50件までとし、同一人物、団体からの申請は6箇月期間を空けるといった大量閲覧を規制するための内規強化を9月1日から行っています。このように国の法改正を待つだけでなく、地方自治体の責任において個人情報保護への取組が進み始めています。しかし京都市では、今回個人情報保護に関する条例の改正が行われるものの、住民基本台帳法に基づく閲覧、転記に関する個人情報保護にまでは踏み込んでおりません。市民が安心して生活できる環境づくりを行う観点からも京都市独自の個人情報保護への取組を考える必要があると考えます。また公職選挙法においても期間限定はあるものの、同様に本人の同意なく個人情報の一部である氏名、生年月日、性別、住所を閲覧することが認められています。そのため住民基本台帳の閲覧、転記だけでなく、公職選挙法上での閲覧をも含んだ対策を進めていただく必要があると考えますがいかがでしょうか。担当される高木副市長の御所見をお聞かせください。以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。 最後に1点要望させていただきます。この度左京区でも総合庁舎建設予定地が公表され、実現に向け一歩前進しました。一日も早い利用を望んではおりますが、利用者である区民の声を十分に生かすためのワークショップの開催や施設利用者の利便性を高めるための交通環境整備をしっかりと進めていただくことを要望して終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(田中セツ子) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼) 隠塚功議員の御質問にお答え致します。 まず温室効果ガスの削減と地球温暖化対策の推進体制についてでございます。私は、京都議定書誕生の地の市長として、この掛け替えのない青く輝く地球を未来に引き継いでいくため環境への負担の少ない持続可能な社会を築くという固い決意の下、KES環境マネジメントシステムの普及やバイオディーゼル燃料化事業など全国から注目される先進的な取組を進めて参りました。しかしながら温室効果ガス10パーセント削減という本市の掲げる高い目標を実現するためには、隠塚功議員御指摘のとおり更なる取組の強化が必要でございます。このため京都議定書発効が確実となったまさにこの時期に実効ある地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため京都市地球温暖化対策条例案を提案したものでございます。本条例案につきましては、何としても達成するため10パーセント削減を当面の目標として明記するとともに、目標達成に向け評価及び見直しを行うための体制整備についても規定しております。隠塚議員から大変積極的な御提案をいただきました条例の推進体制に関する市長直轄部局の設置につきましては、市政の最高方針や重要な政策等についての庁内の最高意思決定機関として都市経営戦略会議を本年4月に設置し、その常任メンバーとして環境局長を位置付け、市政全般にわたり環境を基軸とした政策を進める体制を整備致しました。更にこの条例制定を機に個別分野ごとに施策を点検評価し取組の執行管理を行う局、区を挙げた強力な推進体制が必要であることから、私自らがリーダーとなる新たな体制を検討して参ります。また交通需要管理施策いわゆるTDM施策につきましては、温暖化防止に極めて有効であることから今後の本市のTDM施策推進の指針となる歩くまち・京都交通まちづくりプランに基づき嵐山と東山におけるパークアンドライドなどの交通政策に取り組んでいるところでございます。今後とも削減目標の達成に向けて私自らの強いリーダーシップの下、市民、事業者と連携し不退転の決意をもって実効ある取組を進めて参る所存でございます。 次に少人数学級についてでございますが、将来を担う子供たちの教育環境の充実は極めて重要な課題であり、市政推進の最重点施策の一つとしてこれまでから全力を傾注して参りました。とりわけ国の構造改革特区の認定を受け、政令指定都市で初めて本市独自の予算により教員を任用して平成15年度から小学校1年生を対象に35人学級を導入し、本年度からは2年生にも拡大しており、この少人数学級での一人一人の子供に焦点を当てた指導が大きな成果を挙げつつあります。現在、平成19年度までに30人学級の導入の実現を目指し、国における定数改善の状況、義務教育費国庫負担金や、その政令指定都市への移管等の動向も見据え教育委員会において最も効果的な導入方法について教育的観点から検討が進められております。今後とも一人一人の子供たちを大切にしたきめ細かな教育を願う保護者、市民の期待にこたえるため、極めて厳しい財政状況の下ではありますが本市教育の一層の充実発展に努めて参りたい決意でございます。 以下、副市長及び教育長が御答弁申し上げます。 ○議長(田中セツ子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木壽一) 私から2点お答え致します。まず行政評価についてでございます。京都市におきましては市民の皆様に対する説明責任を充実し、より効果的な市政の運営や政策の企画立案に役立てますために、政策評価制度を構築し今年度から本格的に実施致しております。御質問の評価主体でございますが、京都市の評価制度の枠組みは、評価を適正に行い評価結果や評価の過程で得られた情報を政策の企画立案等に十分活用するため行政自身による自己評価を基本とするという京都市政策・施策評価制度検討委員会からいただきました答申を基本と致しております。具体的には所管局におきまして評価原案を作成した上で市長をトップと致します都市経営戦略会議において審議、決定を行うという2段階構成になっております。評価に当たりましては、客観性を担保するため客観的な数値目標の達成状況と市民アンケートによる生活実感調査に基づく評価を行っております。加えてこのような評価の根拠となります情報をすべて公開し、市会をはじめ市民の皆様方から御意見を頂だいすることで公正な評価となるように努めております。また評価の方法や実施過程につきまして京都市政策評価制度評議会の御意見をいただいております。今後とも隠塚議員の御提案も含めまして政策評価に関する様々な御意見を頂だいし制度の改善を図って参りたいと考えております。 次に住民基本台帳及び選挙人名簿の閲覧についてお答え致します。個人情報の保護につきましては、その重要性を十分に認識し市政を進めております。まず住民基本台帳は、住民基本台帳法により公開が原則とされているため不当な目的である場合を除き誰でも閲覧を請求できることになっております。しかしながら京都市では、プライバシー保護の観点から原則として個人からの閲覧請求には応じないことに致しております。閲覧者の本人確認及び請求事由に係る資料や誓約書の提出を求めますとともに、閲覧者数を2人までに制限するなどの措置を講じております。また選挙人名簿抄本につきましても、公職選挙法の規定により選挙人名簿の正確を期するため閲覧に供さなければならないとされておりますが、閲覧者の範囲を制限し個人情報の保護に努めております。いずれも抜本的な解決のためには法改正が必要でありまして、引き続き国に対して強く要望して参りますが、それまでの間、京都市独自の可能な対策強化を検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕 ◎副市長(松井珍男子) 私からは外郭団体への事務事業評価の導入等についてお答え致します。本市におきましては平成12年度から他都市に先駆けて外郭団体の経営評価システムを導入しており、団体自らが業務改善や財務改善に関する目標を具体的に定めた経営計画を策定し、その経営計画に基づく事業等の取組結果について外部の専門家の助言等を受けながら団体及び本市が点検評価をしております。こうした目標管理の徹底による経営改善を促す仕組みは正に本市の事務事業評価制度の取組と同様のものであり、このシステムの導入により着実に経営改善等の成果を挙げております。平成17年度からは、これまでの経営評価結果の一部の公表に加え、経営計画やその取組結果も含めてすべて公表することとしており、より一層情報公開の充実が図れるものと考えております。また監査委員による監査につきましては、地方自治法により出資率25パーセント以上の法人及び補助金を交付している団体を対象に計画的に毎年実施しており、監査の結果につきましてはその都度市民の皆様に公表致しております。以上でございます。 ○議長(田中セツ子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕 ◎教育長(門川大作) 少人数教育についてでありますが、市民代表にも参画いただいた本市の教育改革推進プロジェクトから、小学校1年生、2年生においては、まずは基本的生活習慣や集団生活におけるルール等の定着を図るため生活集団である学級と学習集団を一致させ学級定員を引き下げることが望ましいとの提言を受けて、本市独自の予算で政令指定都市唯一35人学級を実施しております。また学級定員が40人の3年生以上につきましては、1学級当たりの児童数が40人に近い学年を対象に子供の状況や家庭、地域の実態を勘案し必要に応じ国の定数を活用し教員を加配し、学級定員は変えることなく少人数指導を実施しております。来年度において現在35人学級の2年生が3年に進級する際には国基準の40人学級が適用されることになり、隠塚議員御指摘の激変緩和措置につきましては厳しい財政状況の下、本市独自に行うことは困難でありますが、現行制度で国からの定数を効果的に活用し、どのような措置ができるか現在慎重に検討しております。今後とも国の制度の動向も見据えつつ国及び府に対して定数措置をはじめとした施策の一層の充実を要望して参ります。以上です。 ○議長(田中セツ子) これをもって一般質問を終結致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) この場合、議長から御報告申し上げます。 本日配付致しました請願文書表の一部に誤字がありました。正しい文書表をお手元に配付させていただきましたのでよろしくお願い申し上げます。 以上、御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(田中セツ子) 本日は、これをもって散会致します。 〔午後3時5分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        議長    田中セツ子        副議長   久保省二        署名議員  宮田えりこ        同     木村 力 △(イメージ)請願文書表「受理番号260」「教育条件の改善」・請願文書表「受理番号261」「教育条件の改善」 △(イメージ)請願文書表「受理番号262・263・264」「教育条件の改善」・請願文書表「受理番号265」「基地移転に係る指導」...